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音楽のチカラ
初めてのライブ
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Coming soon!
いよいよ、音楽祭の当日となった。
会場はほぼ満員で、観客はみんなお酒を飲んだり、おどったりと、それぞれに楽しんでいた。周りにはたくさんのたべもの屋がならび、人が列を作っていた。
ユミはいつもよりていねいに化粧をし、髪をセットしてステージ用の服を身につけた。
かがみの前で、ユミは小さな声で言った。「がんばれ、私。みんなが応援してくれている。仲間がいるから大丈夫」
ケンたちのバンドは3組目だった。ユミは徐々に緊張が強くなった。自分たちの順番となったときメンバー全員で手をつないで、ケンは言った。「いつものように、楽しくやろう!オー」
楽しくやる。がんばらなくていいんだと思って心がかるくなった、やれそうな気がすると、ユミは思いながらステージに向かった。
アレッサンドロも、初めての日本のステージでとても緊張していた。しかし、彼もまたこの「楽しもう!」という言葉に元気をもらい、気持ちを高めていった。
ケンたちのバンド、「ケンズバンド」の、最初の曲はユミが主役で歌う曲だった。
高い声がよく通るユミの歌は、観客の心をつかみ、みんな拍手でこたえてくれた。
ユミもそれにこたえて気分良く歌ってみせた。アレッサンドロも時々ユミと目が合い、笑いながらうなずき、ともに楽しんでいると伝えあった。
曲が終わると歓声が起こり、ステージはうまくいっていると自信を持った。
ケンは、観客に向かって、メンバーの紹介をし、ユミとイタリアから来たアレッサンドロが次にイタリアのロックを歌うことを説明した。
次の曲はプレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(PFM)の饗宴である。アレッサンドロのギターの1人での演奏から入り徐々にはげしいバンドの掛け合いになっていった。
アンドレアの歌にユミやほかのメンバーの音が重なりながらはげしく展開する音楽は観客の心をもっと熱くさせた。アレッサンドロもこれまでには考えられない最高の経験となった。曲が終わると観客がみんな立ち上がり、大きな歓声が起こった。
アンコールの拍手がおき、ケンズバンドは涙そうそうを演奏することとなった。
ユミの歌う声はまた、聞く人の心を動かし、さらにもり上がりを見せた。
こうしてステージは無事に終わった。
アレッサンドロにはたくさんの観客が握手をしてほしいとたのんだり、サインを欲しがるなど反響(ステージに出たために起こった影響)が大きかった。「どこから来たのか」とか、「なぜそんなにギターや歌がうまいのか」などたくさんの注目を集めることとなった。
また、ユミの歌も感動を呼び「また聞きたい」「つぎはいつステージがあるのか」などたくさんの声があった。
ステージ後の食事会の場で、グループメンバーみんなが興奮した様子で、その成功をよろこび合った。
リーダーのケンは「よかったな。あれだけうまくいくとは思わなかった。一時はどうなるかと思ったけれど、ユミ、がんばってくれてほんとうにありがとう。あっがんばってって言わないつもりだったんだ…」と笑った。
「ケンが、楽しんでと言ってくれたから、私もすごく楽になって、楽しく歌えたし、また歌いたいと思った。みんな支えてくれて、ほんとうにありがとうございました。」とユミはあたまを下げた。ユミは今日、無事にステージが終わって、今までもっていた不安が少しではあるけれど自信に変わったことを感じていた。ランナーズハイ(走った後に気分が良くなること)ってあるけれど、今の私はもしかしたらあんな感じなのかなと思った。
「アレ、きみはどうだった?」とケンは聞いた。
「とても、いい経験だった。本当に楽しかったし、しあわせな時間だった。いつも言うけれど、夢のようだ」アレッサンドロはケンの手をとりながら答えた。
タクヤは「なんか不思議だよな。イタリア人とバンドって。でもアレの性格は日本人と似ているところもあるし、日本語もうまいから、国とかもう関係ないなって感じだよ」と言ってアレとビールで乾杯するまねをした。
ヨシもまた「そうだね、イタリア人はもっとあそんでいる印象があったけれど、アレはまじめだし、ギターも歌もうまいから、ほんとうメンバーに入ってよかったな」と言った。
アレッサンドロはメンバーからの言葉を聞いて、本当にみんなから信じてもらえているように感じ、とてもうれしくなった。
そして、これまで思っていたことを、勇気を出して言った。
「ぼくは、ずっとバンドをやりたいと思っていたけれど、ぜんぜん機会がなかった。でもユミのおかげで機会をもらって、ケンズバンドに入ることができた。本当にみんなに感謝しているよ。せっかく会えたのだから、これから、もっと日本とイタリアの音楽を合わせて、二つの国がもっと近くなれたらいいと思っているんだ」
「合わせて?」とケンが聞いた。
「そう、合わせてみる。例えばイタリアの音楽はカンツォーネという。明るく聞きやすい曲が多い。日本の楽器と合わせてみたり、日本語になおして歌ったりしてもわかりやすいんだ」
「なるほど、何か自分たちで曲を作ってもいいね、ヨシ、どうだろうか」
「考えてみようか」とヨシが答えた。
こうして食事会はその後もつづき、5人の音楽の話はおそくまで終わらなかった。
会場はほぼ満員で、観客はみんなお酒を飲んだり、おどったりと、それぞれに楽しんでいた。周りにはたくさんのたべもの屋がならび、人が列を作っていた。
ユミはいつもよりていねいに化粧をし、髪をセットしてステージ用の服を身につけた。
かがみの前で、ユミは小さな声で言った。「がんばれ、私。みんなが応援してくれている。仲間がいるから大丈夫」
ケンたちのバンドは3組目だった。ユミは徐々に緊張が強くなった。自分たちの順番となったときメンバー全員で手をつないで、ケンは言った。「いつものように、楽しくやろう!オー」
楽しくやる。がんばらなくていいんだと思って心がかるくなった、やれそうな気がすると、ユミは思いながらステージに向かった。
アレッサンドロも、初めての日本のステージでとても緊張していた。しかし、彼もまたこの「楽しもう!」という言葉に元気をもらい、気持ちを高めていった。
ケンたちのバンド、「ケンズバンド」の、最初の曲はユミが主役で歌う曲だった。
高い声がよく通るユミの歌は、観客の心をつかみ、みんな拍手でこたえてくれた。
ユミもそれにこたえて気分良く歌ってみせた。アレッサンドロも時々ユミと目が合い、笑いながらうなずき、ともに楽しんでいると伝えあった。
曲が終わると歓声が起こり、ステージはうまくいっていると自信を持った。
ケンは、観客に向かって、メンバーの紹介をし、ユミとイタリアから来たアレッサンドロが次にイタリアのロックを歌うことを説明した。
次の曲はプレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(PFM)の饗宴である。アレッサンドロのギターの1人での演奏から入り徐々にはげしいバンドの掛け合いになっていった。
アンドレアの歌にユミやほかのメンバーの音が重なりながらはげしく展開する音楽は観客の心をもっと熱くさせた。アレッサンドロもこれまでには考えられない最高の経験となった。曲が終わると観客がみんな立ち上がり、大きな歓声が起こった。
アンコールの拍手がおき、ケンズバンドは涙そうそうを演奏することとなった。
ユミの歌う声はまた、聞く人の心を動かし、さらにもり上がりを見せた。
こうしてステージは無事に終わった。
アレッサンドロにはたくさんの観客が握手をしてほしいとたのんだり、サインを欲しがるなど反響(ステージに出たために起こった影響)が大きかった。「どこから来たのか」とか、「なぜそんなにギターや歌がうまいのか」などたくさんの注目を集めることとなった。
また、ユミの歌も感動を呼び「また聞きたい」「つぎはいつステージがあるのか」などたくさんの声があった。
ステージ後の食事会の場で、グループメンバーみんなが興奮した様子で、その成功をよろこび合った。
リーダーのケンは「よかったな。あれだけうまくいくとは思わなかった。一時はどうなるかと思ったけれど、ユミ、がんばってくれてほんとうにありがとう。あっがんばってって言わないつもりだったんだ…」と笑った。
「ケンが、楽しんでと言ってくれたから、私もすごく楽になって、楽しく歌えたし、また歌いたいと思った。みんな支えてくれて、ほんとうにありがとうございました。」とユミはあたまを下げた。ユミは今日、無事にステージが終わって、今までもっていた不安が少しではあるけれど自信に変わったことを感じていた。ランナーズハイ(走った後に気分が良くなること)ってあるけれど、今の私はもしかしたらあんな感じなのかなと思った。
「アレ、きみはどうだった?」とケンは聞いた。
「とても、いい経験だった。本当に楽しかったし、しあわせな時間だった。いつも言うけれど、夢のようだ」アレッサンドロはケンの手をとりながら答えた。
タクヤは「なんか不思議だよな。イタリア人とバンドって。でもアレの性格は日本人と似ているところもあるし、日本語もうまいから、国とかもう関係ないなって感じだよ」と言ってアレとビールで乾杯するまねをした。
ヨシもまた「そうだね、イタリア人はもっとあそんでいる印象があったけれど、アレはまじめだし、ギターも歌もうまいから、ほんとうメンバーに入ってよかったな」と言った。
アレッサンドロはメンバーからの言葉を聞いて、本当にみんなから信じてもらえているように感じ、とてもうれしくなった。
そして、これまで思っていたことを、勇気を出して言った。
「ぼくは、ずっとバンドをやりたいと思っていたけれど、ぜんぜん機会がなかった。でもユミのおかげで機会をもらって、ケンズバンドに入ることができた。本当にみんなに感謝しているよ。せっかく会えたのだから、これから、もっと日本とイタリアの音楽を合わせて、二つの国がもっと近くなれたらいいと思っているんだ」
「合わせて?」とケンが聞いた。
「そう、合わせてみる。例えばイタリアの音楽はカンツォーネという。明るく聞きやすい曲が多い。日本の楽器と合わせてみたり、日本語になおして歌ったりしてもわかりやすいんだ」
「なるほど、何か自分たちで曲を作ってもいいね、ヨシ、どうだろうか」
「考えてみようか」とヨシが答えた。
こうして食事会はその後もつづき、5人の音楽の話はおそくまで終わらなかった。
いよいよ、音楽祭の当日となった。
会場はほぼ満員で、観客はみなお酒を飲んだり、踊ったりと、思い思いに楽しんでいた。周囲にはたくさんのたべもの屋が並び、人々が列を作っていた。
ユミはいつもより念入りに化粧をし、髪をセットして衣装を身につけた。
鏡の前で、ユミはつぶやいた。「がんばれ、私。みんなが応援してくれている。仲間がいるから大丈夫」
ケンたちのバンドは3組目だった。ユミは徐々に緊張が強くなった。出番となったときメンバー全員で手をつないで、ケンは言った。「いつもどおり、楽しくやろう!オー」
楽しくやる。頑張らなくていいんだと思って心が軽くなった、やれそうな気がすると、ユミは思いながらステージに向かった。
アレッサンドロも、初めての日本のステージでとても緊張していた。しかし、彼もまたこの「楽しもう!」という言葉に励まされて気持ちを高めていった。
ケンたちのバンド、「ケンズバンド」の、1曲目はユミがメインボーカルの曲だった。
高温がよく通るユミの歌は、観客の心をつかみ、みな拍手で盛り上げてくれた。
ユミもそれにこたえて気持ち良く歌い上げた。アレッサンドロも時折ユミと目が合い、笑顔でうなずき、ともに楽しんでいると伝えあった。
曲が終わると歓声が起こり、ステージはうまくいっていると確信した。
ケンは、観客に向かって、メンバーの紹介をし、ユミとイタリアから来たアレッサンドロが次にイタリアのロックを歌うことを説明した。
2曲目はプレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(PFM)の饗宴である。アレッサンドロのギターのソロから入り徐々にダイナミックなバンドの掛け合いになっていった。
アンドレアの歌にユミやほかのメンバーがハモりながらドラマチックに展開する音楽は観客の心を更に熱くさせた。アレッサンドロもこれまでには考えられない至福の体験となった。曲が終わると観客が総立ちになり大歓声となった。
アンコールの手拍子がおき、ケンズバンドは涙そうそうを演奏することとなった。
ユミの歌声はまた、聞く人の心にしみ入り、更に盛り上がりを見せた。
こうしてステージは無事に終了した。
アレッサンドロにはたくさんの観客が握手を求めたりサインを欲しがるなど反響が大きかった。「どこから来たのか」とか、「なぜそんなにギターや歌がうまいのか」など多くの関心を集めることとなった。
また、ユミの歌も感動を呼び「又聞きたい」「次はいつステージがあるのか」などたくさんの反応があった。
ステージ後の打ち上げの場で、グループメンバーもみな興奮した様子で、その成功を喜び合った。
リーダーのケンは「いやあ、よかったなー。あんなに盛り上がるとは思わなかった。一時はどうなるかと思ったけど、ユミ、頑張ってくれてほんとにありがとう。あっ頑張ってって言わないつもりだったんだ…」と笑った。
「ケンが、楽しんでって言ってくれたから、私もすごく楽になって、楽しく歌えたし、また歌いたいって思った。みんなのサポート、本当にありがとうございました。」とユミは頭を下げた。ユミは今日、無事にステージを終え、今までもっていた不安が少しだけど自信に変わったことを感じていた。ランナーズハイってあるけど、今の私はもしかしたらあんな感じなのかなと思った。
「アレ、君はどうだった?」とケンは聞いた。
「とても、いい経験だったよ。本当に楽しかったし、幸せな時間だった。いつも言うけど、夢のようだよ」アレッサンドロはケンの手を握りながら答えた。
タクヤは「なんか不思議だよな。イタリア人とバンドって。でもアレのメンタリティは日本人と似ているところもあるし、日本語もうまいから、国とかもう関係ないなって感じだよ」と言ってアレとビールで乾杯する仕草をした。
ヨシもまた「そうそう、イタリア人はもっと遊んでいるイメージがあったけど、アレは真面目だし、ギターも歌もうまいから、ほんとメンバーに入って大正解だよな」と言った。
アレッサンドロはグループメンバーからの言葉を聞いて、本当にみんなから信頼されているという実感があり、とてもうれしくなった。
そして、これまで思っていたことを思い切って言った。
「僕は、ずっとバンドをやりたいと思っていたけれど、全く機会がなかった。でもユミのおかげでチャンスをもらって、ケンズバンドに入ることができた。本当にみんなに感謝しているよ。せっかく出会えたのだから、これから、もっと日本とイタリアの音楽をミックスして、二つの国がますます近くなれたらいいと思っているんだ」
「ミックス?」とケンが聞いた。
「そう、ミックス。例えばイタリアの音楽はカンツォーネという。明るく親しみやすい曲が多い。日本の楽器とコラボしたり、日本語に直して歌ったりしてもわかりやすいんだ」
「なるほど、何かオリジナルの曲を作ってもいいね、ヨシ、どうだろうか」
「考えてみようか」とヨシが答えた。
こうして打ち上げはその後も続き、5人の音楽の話は遅くまで止まなかった。
会場はほぼ満員で、観客はみなお酒を飲んだり、踊ったりと、思い思いに楽しんでいた。周囲にはたくさんのたべもの屋が並び、人々が列を作っていた。
ユミはいつもより念入りに化粧をし、髪をセットして衣装を身につけた。
鏡の前で、ユミはつぶやいた。「がんばれ、私。みんなが応援してくれている。仲間がいるから大丈夫」
ケンたちのバンドは3組目だった。ユミは徐々に緊張が強くなった。出番となったときメンバー全員で手をつないで、ケンは言った。「いつもどおり、楽しくやろう!オー」
楽しくやる。頑張らなくていいんだと思って心が軽くなった、やれそうな気がすると、ユミは思いながらステージに向かった。
アレッサンドロも、初めての日本のステージでとても緊張していた。しかし、彼もまたこの「楽しもう!」という言葉に励まされて気持ちを高めていった。
ケンたちのバンド、「ケンズバンド」の、1曲目はユミがメインボーカルの曲だった。
高温がよく通るユミの歌は、観客の心をつかみ、みな拍手で盛り上げてくれた。
ユミもそれにこたえて気持ち良く歌い上げた。アレッサンドロも時折ユミと目が合い、笑顔でうなずき、ともに楽しんでいると伝えあった。
曲が終わると歓声が起こり、ステージはうまくいっていると確信した。
ケンは、観客に向かって、メンバーの紹介をし、ユミとイタリアから来たアレッサンドロが次にイタリアのロックを歌うことを説明した。
2曲目はプレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(PFM)の饗宴である。アレッサンドロのギターのソロから入り徐々にダイナミックなバンドの掛け合いになっていった。
アンドレアの歌にユミやほかのメンバーがハモりながらドラマチックに展開する音楽は観客の心を更に熱くさせた。アレッサンドロもこれまでには考えられない至福の体験となった。曲が終わると観客が総立ちになり大歓声となった。
アンコールの手拍子がおき、ケンズバンドは涙そうそうを演奏することとなった。
ユミの歌声はまた、聞く人の心にしみ入り、更に盛り上がりを見せた。
こうしてステージは無事に終了した。
アレッサンドロにはたくさんの観客が握手を求めたりサインを欲しがるなど反響が大きかった。「どこから来たのか」とか、「なぜそんなにギターや歌がうまいのか」など多くの関心を集めることとなった。
また、ユミの歌も感動を呼び「又聞きたい」「次はいつステージがあるのか」などたくさんの反応があった。
ステージ後の打ち上げの場で、グループメンバーもみな興奮した様子で、その成功を喜び合った。
リーダーのケンは「いやあ、よかったなー。あんなに盛り上がるとは思わなかった。一時はどうなるかと思ったけど、ユミ、頑張ってくれてほんとにありがとう。あっ頑張ってって言わないつもりだったんだ…」と笑った。
「ケンが、楽しんでって言ってくれたから、私もすごく楽になって、楽しく歌えたし、また歌いたいって思った。みんなのサポート、本当にありがとうございました。」とユミは頭を下げた。ユミは今日、無事にステージを終え、今までもっていた不安が少しだけど自信に変わったことを感じていた。ランナーズハイってあるけど、今の私はもしかしたらあんな感じなのかなと思った。
「アレ、君はどうだった?」とケンは聞いた。
「とても、いい経験だったよ。本当に楽しかったし、幸せな時間だった。いつも言うけど、夢のようだよ」アレッサンドロはケンの手を握りながら答えた。
タクヤは「なんか不思議だよな。イタリア人とバンドって。でもアレのメンタリティは日本人と似ているところもあるし、日本語もうまいから、国とかもう関係ないなって感じだよ」と言ってアレとビールで乾杯する仕草をした。
ヨシもまた「そうそう、イタリア人はもっと遊んでいるイメージがあったけど、アレは真面目だし、ギターも歌もうまいから、ほんとメンバーに入って大正解だよな」と言った。
アレッサンドロはグループメンバーからの言葉を聞いて、本当にみんなから信頼されているという実感があり、とてもうれしくなった。
そして、これまで思っていたことを思い切って言った。
「僕は、ずっとバンドをやりたいと思っていたけれど、全く機会がなかった。でもユミのおかげでチャンスをもらって、ケンズバンドに入ることができた。本当にみんなに感謝しているよ。せっかく出会えたのだから、これから、もっと日本とイタリアの音楽をミックスして、二つの国がますます近くなれたらいいと思っているんだ」
「ミックス?」とケンが聞いた。
「そう、ミックス。例えばイタリアの音楽はカンツォーネという。明るく親しみやすい曲が多い。日本の楽器とコラボしたり、日本語に直して歌ったりしてもわかりやすいんだ」
「なるほど、何かオリジナルの曲を作ってもいいね、ヨシ、どうだろうか」
「考えてみようか」とヨシが答えた。
こうして打ち上げはその後も続き、5人の音楽の話は遅くまで止まなかった。