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友情は味見から
メイリン、中国料理を作る会を開く
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Coming soon!
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つぎの自主ゼミの日、メイリンは近くにいたクラスメートに話しかけました。
「あの、こんど、みなさんといっしょに中国料理を作りたいと思ってるんだけど、きょうみがありますか。」
「え、うん。かんたんに作れるなら、作ってみたい。」
「自分で作れたらいいよね。」
何人かの日本人のクラスメートが言いました。留学生も
「日本で中国料理を作るなんて思ってもいなかった。作ってみたいよ。」
と言いました。メイリンは、
「じゃ、ぜひ、いっしょに作りましょう。中国料理は自由で、みんなで作りやすいと思う。私がせつめいするので、かんたんだと思うよ。りょうの食堂でやろうと思ってるんだけど、いつだったらいい?」
「うーん、土曜か日曜ならだいじょうぶだけど。」
「ぼくは土曜はサークル活動があるけど、日曜ならいいよ。」
メイリンはみんなのスケジュールを聞いて、一番たくさんの人が集まれそうな日曜日の昼にに決めました。前に考えていたとおり、作る料理はエビチリにしました。
すぐにメイリンはりょうの食堂へ行って、スケジュールノートをたしかめました。
(日曜日の昼、…あっ、さ来週の日曜日、あいてる。じゃ、この日にしよう。)
メイリンはつぎの自主ゼミの日、クラスのみんなに中国料理を作る会のスケジュールと場所と作る料理を話しました。
「来週の土曜日の11時にりょうの食堂ね。」
「エビチリを作るんだね。おいしそう。」
「作ったら、それが昼ごはんになるんだね。」
「楽しみだね。」
日本人の学生が3人と留学生が2人、来てくれるようです。日本人だけでなく、その他の国の人とも交流ができそうです。こんなことができるなんて、メイリンは今まで考えたことがなくて、とてもおもしろいと思いました。そして、ぜったいにがんばろうと思いました。
今日は土曜日。明日はみんなで中国料理を作る日です。メイリンはじゅんびをしました。
(私も入れて全部で6人。ざいりょうを買っておかないと。)
メイリンはスーパーに出かけました。
(エビとねぎとショウガとニンニクを買おう。味をつける塩、コショウ、トマトケチャップ、酒、酢(す)、中華味のもと――中国料理の味を出すもの――、かたくり粉は部屋にあるし、ラー油と豆板醤(とうばんじゃん)――中国料理でよく使うからいみそ――は中国から持ってきたから、だいじょうぶ。それに、日本人はからいのよりあまいほうが好きそうだから、使わなくてもいいかもしれない。あ、あとお米も買っておこう。)
メイリンはまず、スーパーの魚売り場に行きましたが、
(エビは明日の朝買ったほうがしんせんでいいかな。)
と思って、買わないで、ねぎとショウガとニンニクとお米を買ってりょうに帰りました。
そして、エビチリの作りかたをたしかめました。
(まず、エビのせなかからくろいわたを取って、しおとかたくり粉をふって、もみながら水できれいにあらいます。それから、水をふいて、味をつけるためにもういちどしおとかたくり粉をふります。それから、タレ、――エビチリではエビにかけるもの――を作ります。ショウガとニンニクをすりおろします。ねぎをこまかく切ります。すりおろしたショウガとニンニクとトマトケチャップととうばんじゃんを同じ入れものに入れておきます。とうばんじゃんはからいので、少なくていいかな。ここで、フライパンに油をしいて、火をつけてエビに火をとおします。エビを取り出したあとで、同じ入れものに入ったショウガやニンニクなどを全部いっしょにフライパンに入れていためます。小さいあわが出たら、火を止めて水を入れてまぜます。それから、酒、さとう、しお、中華あじ、コショウをいれてよくまぜます。味をチェックして、そこにエビを入れます。火をつけて、エビにしっかり火をとおします。あつくなったら、はじめに切ったねぎを入れます。ふっとうして100℃になったら、火を止めて、水にとかしたかたくり粉を回しながらかけます。大きくまぜてトロトロになったら、もういちど火をつけます。まぜながら、からいのが好きだったら、ラー油を入れます。さいごにお酢(す)を少し入れて、できあがり。うん、だいじょうぶ。)
メイリンは安心してねることができました。
いよいよ日曜日になりました。メイリンはエビを買いにスーパーに行きました。ところが、魚売り場にエビが見当たりません。えっ、と思ってスーパーの人に聞きました。
「あの、すみません。エビを買いに来たんですが。」
「ああ、エビは、今日日曜日でね、入らないかもしれないんです。もうしわけありません。」
「えっ、困るんです。今日、みんなでエビチリを作ることになってるんです。」
メイリンは、頭の中がまっ白になってしまいました。
「すみませんね。どうしようもないので、他のスーパーに行ってみてもらえますか。」
「他のスーパーってどこにありますか。」
「ここを出て、前の大きい道をまっすぐ左に行くと、右にありますよ。歩くと30分ぐらいかかりますが。」
「はあ、どうも。」
(今10時半でしょ。そんなことしてたら、間に合わない。どうしよう……。しんせんなエビがいいと思ったのに買えないなんて……。)
メイリンはなきそうになりながら、スーパーを出ました。
(しょうがない。みんなにあやまるしかない。)
メイリンはしょんぼりしてりょうの食堂に向かいました。
11時にみんなが食堂に集まりました。
「みなさん、今日はありがとう。はじめにあやまらなければならないことがあります。エビチリを作ると言ったんだけど、エビが買えなかったの。さっきスーパーに行ったら、今日は入らないかもしれないって……。」
「えっ、じゃ作れないってこと?」
「本当にごめんなさい。いいわけみたいだけど、今日買ったほうがしんせんだと思って、昨日は買えたんだけど、買わなかったんだ。」
「そうなの。気をつかってくれたんだね。ありがとう。」
クラスメートの留学生が言いました。
「それに、ざいりょう、たくさんじゅんびしてくれて、大変だったでしょう?」
「何かいいアイデアがないかなあ。」
クラスメートは口々に言いました。
「メイリンさんが言ってたけど、中国料理は自由なんでしょう? エビのかわりになるものがあれば、それでいいんじゃない?」
「そうだね。エビみたいにちょっとプリプリした食べもの……あっ、ちくわとか、どう?」
日本人のクラスメートが言いました。
「ちくわって何?」
留学生が聞くと、その日本人の学生は
「魚をすってかためた食べ物で、つつのような形で中にあながあいてるの。漢字で書くと『竹』とリングの『輪』で、竹のまわりに魚をすったものをまいてやいて作るから、ちくわって言われるようになったんだって。」
と説明しました。
「へえ、いいね。」
「あと、とり肉もいいかもしれないね。」
「ちくわやとり肉なら、スーパーで売ってるよね。買いに行こう!」
「うん、飲み物も買ってこよう。ウーロン茶でいいかな?」
「うん。いいよ。行こう行こう。」
「メイリンさん、行ってくるね。しんぱいしないでね。」
クラスメートは口々に言いました。メイリンは、
「みなさん、本当にありがとう。すみません。」
と目になみだをうかべて言いました。
クラスメートがちくわととり肉とウーロン茶を買ってもどってきました。
「じゃ、メイリンさん、よろしくお願いします。」
「はい。じゃ、ちくわととり肉をエビと同じぐらいの大きさに切ってください。」
そして、メイリンはきのうたしかめたように、ちくわととり肉を使ってみんなといっしょにエビチリを作りました。日本人が好きそうなあまりからくなくてさっぱりした味にしてみました。
「できた! どうかな。おいしいといいんだけど…。」
「『なんちゃってエビチリ』だね。でもいいにおい。」
「『なんちゃってエビチリ』ってどういう意味?」
「『なんちゃって』っていうのは、などと言ってしまって、を話しことばにした言いかたで、じょうだんでした、っていう意味で、『なんちゃって○○』って言うと、じょうだんの、本物じゃないっていう意味になるの。だから、本物じゃないエビチリっていうこと。」
「へえ、はじめて聞いた。」
留学生と日本人の学生が楽しそうに話しています。
「じゃ、いただきましょう。ごはんもあるから、いっしょにどうぞ。」
とメイリンが言うと、みんなは『なんちゃってエビチリ』を食べはじめました。
「へえ、ちくわがエビみたいにプリプリしておいしいよ。」
「とり肉もおいしいよ。」
「タレもおいしい。あまりからくなくて、さっぱりしていて、日本人に合っているかも。」
「本物のエビチリを食べてるみたい。」
みんな、おいしそうに食べて、『なんちゃってエビチリ』は全部なくなりました。
「ごちそうさまでした。おいしかった。」
「これで1人でもエビチリや『なんちゃってエビチリ』が作れそう。」
「楽しかった。ありがとう。」
みんな、口々に言いました。メイリンは本当にうれしかったです。
「みんな、今日は来てくれて、親切にしてくれて、本当にありがとう。」
メイリンは、みんなのやさしさがわかって、みんなが楽しそうに交流してくれて、本当によかったと思いました。エビが使えなかったのはざんねんでしたが、しあわせだと感じました。こんな経験をさせてくれたみんなと、もういちどおいしい中国料理を作りたい、もういちどチャレンジしたいと思いました。
「あの、こんど、みなさんといっしょに中国料理を作りたいと思ってるんだけど、きょうみがありますか。」
「え、うん。かんたんに作れるなら、作ってみたい。」
「自分で作れたらいいよね。」
何人かの日本人のクラスメートが言いました。留学生も
「日本で中国料理を作るなんて思ってもいなかった。作ってみたいよ。」
と言いました。メイリンは、
「じゃ、ぜひ、いっしょに作りましょう。中国料理は自由で、みんなで作りやすいと思う。私がせつめいするので、かんたんだと思うよ。りょうの食堂でやろうと思ってるんだけど、いつだったらいい?」
「うーん、土曜か日曜ならだいじょうぶだけど。」
「ぼくは土曜はサークル活動があるけど、日曜ならいいよ。」
メイリンはみんなのスケジュールを聞いて、一番たくさんの人が集まれそうな日曜日の昼にに決めました。前に考えていたとおり、作る料理はエビチリにしました。
すぐにメイリンはりょうの食堂へ行って、スケジュールノートをたしかめました。
(日曜日の昼、…あっ、さ来週の日曜日、あいてる。じゃ、この日にしよう。)
メイリンはつぎの自主ゼミの日、クラスのみんなに中国料理を作る会のスケジュールと場所と作る料理を話しました。
「来週の土曜日の11時にりょうの食堂ね。」
「エビチリを作るんだね。おいしそう。」
「作ったら、それが昼ごはんになるんだね。」
「楽しみだね。」
日本人の学生が3人と留学生が2人、来てくれるようです。日本人だけでなく、その他の国の人とも交流ができそうです。こんなことができるなんて、メイリンは今まで考えたことがなくて、とてもおもしろいと思いました。そして、ぜったいにがんばろうと思いました。
今日は土曜日。明日はみんなで中国料理を作る日です。メイリンはじゅんびをしました。
(私も入れて全部で6人。ざいりょうを買っておかないと。)
メイリンはスーパーに出かけました。
(エビとねぎとショウガとニンニクを買おう。味をつける塩、コショウ、トマトケチャップ、酒、酢(す)、中華味のもと――中国料理の味を出すもの――、かたくり粉は部屋にあるし、ラー油と豆板醤(とうばんじゃん)――中国料理でよく使うからいみそ――は中国から持ってきたから、だいじょうぶ。それに、日本人はからいのよりあまいほうが好きそうだから、使わなくてもいいかもしれない。あ、あとお米も買っておこう。)
メイリンはまず、スーパーの魚売り場に行きましたが、
(エビは明日の朝買ったほうがしんせんでいいかな。)
と思って、買わないで、ねぎとショウガとニンニクとお米を買ってりょうに帰りました。
そして、エビチリの作りかたをたしかめました。
(まず、エビのせなかからくろいわたを取って、しおとかたくり粉をふって、もみながら水できれいにあらいます。それから、水をふいて、味をつけるためにもういちどしおとかたくり粉をふります。それから、タレ、――エビチリではエビにかけるもの――を作ります。ショウガとニンニクをすりおろします。ねぎをこまかく切ります。すりおろしたショウガとニンニクとトマトケチャップととうばんじゃんを同じ入れものに入れておきます。とうばんじゃんはからいので、少なくていいかな。ここで、フライパンに油をしいて、火をつけてエビに火をとおします。エビを取り出したあとで、同じ入れものに入ったショウガやニンニクなどを全部いっしょにフライパンに入れていためます。小さいあわが出たら、火を止めて水を入れてまぜます。それから、酒、さとう、しお、中華あじ、コショウをいれてよくまぜます。味をチェックして、そこにエビを入れます。火をつけて、エビにしっかり火をとおします。あつくなったら、はじめに切ったねぎを入れます。ふっとうして100℃になったら、火を止めて、水にとかしたかたくり粉を回しながらかけます。大きくまぜてトロトロになったら、もういちど火をつけます。まぜながら、からいのが好きだったら、ラー油を入れます。さいごにお酢(す)を少し入れて、できあがり。うん、だいじょうぶ。)
メイリンは安心してねることができました。
いよいよ日曜日になりました。メイリンはエビを買いにスーパーに行きました。ところが、魚売り場にエビが見当たりません。えっ、と思ってスーパーの人に聞きました。
「あの、すみません。エビを買いに来たんですが。」
「ああ、エビは、今日日曜日でね、入らないかもしれないんです。もうしわけありません。」
「えっ、困るんです。今日、みんなでエビチリを作ることになってるんです。」
メイリンは、頭の中がまっ白になってしまいました。
「すみませんね。どうしようもないので、他のスーパーに行ってみてもらえますか。」
「他のスーパーってどこにありますか。」
「ここを出て、前の大きい道をまっすぐ左に行くと、右にありますよ。歩くと30分ぐらいかかりますが。」
「はあ、どうも。」
(今10時半でしょ。そんなことしてたら、間に合わない。どうしよう……。しんせんなエビがいいと思ったのに買えないなんて……。)
メイリンはなきそうになりながら、スーパーを出ました。
(しょうがない。みんなにあやまるしかない。)
メイリンはしょんぼりしてりょうの食堂に向かいました。
11時にみんなが食堂に集まりました。
「みなさん、今日はありがとう。はじめにあやまらなければならないことがあります。エビチリを作ると言ったんだけど、エビが買えなかったの。さっきスーパーに行ったら、今日は入らないかもしれないって……。」
「えっ、じゃ作れないってこと?」
「本当にごめんなさい。いいわけみたいだけど、今日買ったほうがしんせんだと思って、昨日は買えたんだけど、買わなかったんだ。」
「そうなの。気をつかってくれたんだね。ありがとう。」
クラスメートの留学生が言いました。
「それに、ざいりょう、たくさんじゅんびしてくれて、大変だったでしょう?」
「何かいいアイデアがないかなあ。」
クラスメートは口々に言いました。
「メイリンさんが言ってたけど、中国料理は自由なんでしょう? エビのかわりになるものがあれば、それでいいんじゃない?」
「そうだね。エビみたいにちょっとプリプリした食べもの……あっ、ちくわとか、どう?」
日本人のクラスメートが言いました。
「ちくわって何?」
留学生が聞くと、その日本人の学生は
「魚をすってかためた食べ物で、つつのような形で中にあながあいてるの。漢字で書くと『竹』とリングの『輪』で、竹のまわりに魚をすったものをまいてやいて作るから、ちくわって言われるようになったんだって。」
と説明しました。
「へえ、いいね。」
「あと、とり肉もいいかもしれないね。」
「ちくわやとり肉なら、スーパーで売ってるよね。買いに行こう!」
「うん、飲み物も買ってこよう。ウーロン茶でいいかな?」
「うん。いいよ。行こう行こう。」
「メイリンさん、行ってくるね。しんぱいしないでね。」
クラスメートは口々に言いました。メイリンは、
「みなさん、本当にありがとう。すみません。」
と目になみだをうかべて言いました。
クラスメートがちくわととり肉とウーロン茶を買ってもどってきました。
「じゃ、メイリンさん、よろしくお願いします。」
「はい。じゃ、ちくわととり肉をエビと同じぐらいの大きさに切ってください。」
そして、メイリンはきのうたしかめたように、ちくわととり肉を使ってみんなといっしょにエビチリを作りました。日本人が好きそうなあまりからくなくてさっぱりした味にしてみました。
「できた! どうかな。おいしいといいんだけど…。」
「『なんちゃってエビチリ』だね。でもいいにおい。」
「『なんちゃってエビチリ』ってどういう意味?」
「『なんちゃって』っていうのは、などと言ってしまって、を話しことばにした言いかたで、じょうだんでした、っていう意味で、『なんちゃって○○』って言うと、じょうだんの、本物じゃないっていう意味になるの。だから、本物じゃないエビチリっていうこと。」
「へえ、はじめて聞いた。」
留学生と日本人の学生が楽しそうに話しています。
「じゃ、いただきましょう。ごはんもあるから、いっしょにどうぞ。」
とメイリンが言うと、みんなは『なんちゃってエビチリ』を食べはじめました。
「へえ、ちくわがエビみたいにプリプリしておいしいよ。」
「とり肉もおいしいよ。」
「タレもおいしい。あまりからくなくて、さっぱりしていて、日本人に合っているかも。」
「本物のエビチリを食べてるみたい。」
みんな、おいしそうに食べて、『なんちゃってエビチリ』は全部なくなりました。
「ごちそうさまでした。おいしかった。」
「これで1人でもエビチリや『なんちゃってエビチリ』が作れそう。」
「楽しかった。ありがとう。」
みんな、口々に言いました。メイリンは本当にうれしかったです。
「みんな、今日は来てくれて、親切にしてくれて、本当にありがとう。」
メイリンは、みんなのやさしさがわかって、みんなが楽しそうに交流してくれて、本当によかったと思いました。エビが使えなかったのはざんねんでしたが、しあわせだと感じました。こんな経験をさせてくれたみんなと、もういちどおいしい中国料理を作りたい、もういちどチャレンジしたいと思いました。