Coming soon!
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3月になりました。今日はメイリンが日本に行く日です。空港にはメイリンのお父さんとお母さん、それから大川さんとゆみちゃんが見送りに来ました。メイリンは、みんなが見送りに来てくれて、うれしかったです。それにこたえるためにも、日本でがんばって勉強したり、いろいろな経験をしたりしなければ、と思いました。
3時間ぐらいでメイリンは日本の成田空港につきました。これから山田大学の学生寮(りょう)に住みます。りょうは東京の新宿(しんじゅく)にあります。成田空港からバスに乗ると、1時間半ぐらいで新宿のバスターミナルにつきました。そこから15分ぐらい歩いて、メイリンはりょうにつきました。
つぎの日、となりの部屋の学生にあいさつをしました。右のとなりには韓国(かんこく)人のスニョンがいました。左のとなりにはアメリカ人のナンシーがいました。2人とも2年生でせんぱいですが、親切そうだったので、メイリンは安心しました。
スニョンは、りょうのまわりをあんないしてくれました。りょうの右には公園があります。小さいですが、さんぽするのによさそうです。左には公民館(こうみんかん)があります。町の人たちが使える建物だそうです。前には大きいスーパーがあります。買い物に便利そうです。
ナンシーは、りょうの食堂に台所があって料理を作ることができると教えてくれました。食堂のスケジュールノートを見て、あいている時間にだれが何をするかを書いて予約(よやく)しておけばいいそうです。
メイリンは、はじめて知らない所に来て心ぼそかったですが、スニョンやナンシーにいろいろと教えてもらって、少し安心しました。
4月になって大学の新学期が始まりました。メイリンは日本の文化を中心に勉強するつもりですが、もう一つの大きいミッション、つまり中国料理を日本人といっしょに作ることも早くやってみたいと思いました。
メイリンが入る国際文化学部は、留学生と日本人の学生が交流(こうりゅう)しやすいように、5つのクラスに分けられています。1つのクラスには留学生と日本人の学生がいて、全部で30人ぐらいです。1年間、同じクラスの学生で自主(じしゅ)ゼミを作ります。自主ゼミというのは、学生たち自身(じしん)で研究することを決めて勉強する集まりのことです。メイリンはBクラスです。Bクラスには留学生が15人、日本人の学生が15人います。この人たちと友だちになれば、いっしょに中国料理が作れそうだとメイリンは考えました。
(早く友だちを作りたいなあ。)
そう思いながら、メイリンは日曜日にりょうの前のスーパーに買い物に行きました。スーパーには、中国料理に使えそうなざいりょうがありました。
(ここにだいたいざいりょうがあるから、あとは場所を探せば、できそうなんだけど…。あ、りょうの食堂がいい。たしか、スケジュールノートを見て、あいている時間によやくしておけば使えるんだよね。じゃ、あとはスケジュールと作る料理を決めて、人を集めたらできる!)
メイリンはわくわくしました。
(じゃあ、何を作ろうか。何を作ったら、みんなよろこぶかなあ。)
メイリンは考えました。
(やっぱりかんたんに作れておいしいのがいいよね。ざいりょうも少ないと作りやすいかな。チャーハンとか、エビチリとか。はっぽうさいやぎょうざはちょっとざいりょうが多いかな。エビチリがいいかもしれない。ざいりょうが少ないし、早くできるし。うん、エビチリにしよう。日本人は白いごはんといっしょに食べてるみたいだから、他にはごはんがあればいいよね。あっ、そうだ! 日本人はどんな中国料理を食べてるのか、どんな味が好きなのか、知っておいたほうがいいよね。町の中国料理の店に行って食べてみよう。)
つぎの日、授業が終わったあとで、メイリンはりょうの近くの中国料理の店に行きました。入口の上に赤い字で「中華料理」と書いてあります。
(ああ、前にしらべたのを思い出したけど、日本人向けの中国料理は中華料理っていうことが多いんだ。)
そう思いながら、メイリンは入口のドアをあけました。
「へい、いらっしゃい!」
中から元気な声が聞こえました。そう言ったおじさんはカウンター席の向こうで料理を作っています。
「メニューはかべにはってありますよ。」
かべには、ラーメン、チャーハン、ぎょうざ、シュウマイ、エビチリ、マーボードウフなどのメニューがありました。どれもあまり高くないです。
「おすすめは何ですか。」
とメイリンが聞くと、
「ラーメン、チャーハン、ぎょうざが人気があるね。」
とおじさんは言いました。
「そうですか。水(すい)ぎょうざはありますか。」
「いや、日本ではふつう、やきぎょうざを食べるから、うちでは作ってないね。」
「そうなんですね。じゃ、半チャーハンって何ですか。」
「1人分の半分のチャーハンってこと。」
メイリンは、エビチリと半チャーハンでおなかがいっぱいになると思って、その2つを注文しました。おじさんはすぐになれた手つきでチャーハンとエビチリを作って、メイリンの前におきました。
「はい、お待ちどうさま。」
「いただきます。」
メイリンはエビチリを口に入れました。
(中国のよりちょっとあまいかな。でもエビがプリプリしていておいしい。)
それから、チャーハンを一口食べました。
(ああ、さっぱりしている。日本人が好きそうだなあ。食べやすい。)
そして、どんどん食べて、おなかいっぱいになりました。
「おいしかったです。ごちそうさまでした。」
「どうも。またお待ちしてます。」
「また来ます。」
メイリンはそう言って店を出ました。日本人がよく食べる中国料理や好きな味が少しわかって、勉強になったと思いました。そして、思い切ってつぎのBクラスの自主ゼミの日に、いっしょに中国料理を作ろうと、クラスメートをさそってみようと決めました。