Coming soon!
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吉村さんとの出会いがきっかけとなって、マリアは京都の大徳寺に行ってみたいと思うようになりました。
「イザベラ、夏休みに京都に行かない?お寺をたくさん見たいし、どうしても大徳寺に行ってみたいと思っているの」マリアはイザベラを旅行に誘いました。
マリアとイザベラは課題に追われていましたが、旅行の準備を始めました。
7月になりマリアとイザベラは京都の町を楽しんでいました。
京都の夏はとても暑いです。
どこに行っても人が多くてバスに乗るのも大変でした。それでも、まずは清水寺や金閣寺など有名なお寺をいくつか回って参拝しました。手をたたいてはいけないなど、明治神宮で行ったお参りの方法と少し違っていましたが、マリアたちも熱心に祈りました。
学生ですからお金がない二人は、街を歩いていると古いパン屋を見つけました。そして、昼食にコロッケパンを購入しました。お店の婦人は二人にどこから来たのかとか、日本語が上手だねなど話しかけてくれました。
そして「若いうちにたくさんいろいろな経験をして、たくさんの人との出会いを大切にしてね」と言って、小さなカップケーキもサービスしてくれました。
二人は婦人の優しさに感激し、一緒に写真を撮ったり握手をして別れました。
そして、京都の一番の目的地の大徳寺を目指しました。
大徳寺は決まった時期にしか見られない場所が多いです。
今回二人は瑞峯院(ずいほういん)という小寺に行き抹茶を頂く体験を予定していました。有名な庭作家が作った枯山水という庭を見て、石と岩と木で世界を表現するこの方法は心を整えてじっくりと鑑賞しました。とても難しかったですが心に景色を描くことが必要だとマリアは思いました。そして、世界が大きく広がるような気持になりました。
お茶の体験は、春に吉村さんから教わった作法を思い出していただきました。
イザベラはマリアの様子を真似しながら、何とか飲み終えました。
「とっても苦いわ。それに音を立てるのも恥ずかしいわね・・」イザベラは初めてお茶を飲んだ時のマリアと同じような感想を口にしたので、マリアは音を立てて飲む理由を説明しました。
お茶をたててくれた婦人は、「よく知ってますね!それにとても上手に飲めていますよ」とほめてくれました。マリアは春の経験を伝えてとても興味を持ったと話しました。
「この狭い茶室では、自然を身近に感じながら、人と人との出会いに感謝する場です。一期一会と言います」ご婦人は、またあの言葉を使いました。
「一期一会・・」マリアは吉村さんを思い出しながらつぶやきました。
「そうですね。ですから、つねに相手のことを考えて気持ち良く過ごしていただくことを大切にしています。ご縁とも言いますね」ご婦人は微笑みながら話してくれました。
「ここに来れて本当に良かった。いい経験をしたわ」マリアは満足げに言いました。
「町全体が古い文化や人を大切にしている。それに、みんなとても親切ね」とイザベラも感動していました。
最後の日は嵐山に行って、渡月橋や竹林を歩いて景色を楽しんだり、スナックを食べ歩いたりして3日間の旅を終えました。
帰りの新幹線の中で二人は旅の思い出を語り合いました。マリアは町も建物も素晴らしいと思いましたが、人と人との小さな出会いが忘れられませんでした。
「どうしてあんなに優しいんだろうか」
ブラジルは家族や近い友人にはとてもフレンドリーだけど、知らない人にあんな風に親切にしていないと思いました。