閉じる
閉じる
📌
閉じる
📌
心の旅
寄り添う心
現在の再生速度: 1.0倍
Coming soon!
ベレンは猫が大好きだ。アルゼンチンの家でココという三歳の黒猫を飼っている。黒い毛に緑色のひとみ、夜のよう精に似ている。ココはまだ小さいころからずっとベレンと一緒に住んでいる。ベレンは、ココをペットというより愛しい家族の一員だと思っている。日本に来る前は、ベレンとココはいつも一緒だった。昼間は一緒に遊び、夜は一緒に寝る。もし日本に行かなかったら、おそらくずっと一緒にいるだろう。日本に来る前の日、ココを日本に連れて行けないことで、ベレンは大泣きした。出発前、ベレンはココを抱きしめ、泣きながらこう言った。
「ココがいないとさみしくなるけど、またすぐに会えるから!」
日本に着いてからすぐに、もうココに会いたくなった。それで、毎週家族と電話をするとき、ベレンは必ずココにも話す。
「ココ、いい子にしているかな?私すぐ帰るから待っていてね!」
「ココ、最近しっかり食べていないの?少しやせたように見えるよ!」
「ココ、今日ね、ココにとても似ている黒猫を見たよ!同じようなみどり色の目をしてるからココだと思ってびっくりしたの!」
「ココ、会いたい…」
しばらく会えないが、週に一度ココと話すことができることで、ココに会いたい気持ちが少しずつ落ち着いてきた。こうやって毎週ココと電話して、また直接会える日を待つことがずっと続くと思ったが、ある日、姉からの電話があった。
「おはよう、どうしたの?こんな時間に…」
ベレンはあくびをした。昨日の夜、宿題のために遅くまで起きていたので、土日はゆっくり休むつもりだった。
「ベレン、ココのことなんだけど…ココ、病気になったの。」
「えっ!」
ベレンは目を覚ました。
「数週間前から、ココはもう何度もはいたんだ。最初は胃と腸が一時的に弱くなっただけかと思っていたのだけど、先週からは全く食事ができなくなったの。」
「動物病院に連れて行った?お医者さんはどう言ったの?」
ベレンはくちびるをかみ、額には汗をかいてきた。
「進みが速い病気だって。たぶん数週間しか生きられない可能性もあるって…」
「ベレン?」
(ココの様子を見にいくべきなのだろうか?)
ベレンは何も考えられなくなり、言葉が出てこなかった。
電話を切った後、ベレンはベッドに座って泣いた。
「ココ、またすぐに会おうねって約束したのに、なんでこんなことに…」
ココが病気になったことを知ってから、ベレンが眠れる夜はなかった。目を閉じると必ず、ココのすがたを思い出される。いつもそばにいるココ、夜の妖精のようなみどり色の目をしているココ。思い出すと、また涙が出る。
ヒロシはベレンの気分が沈んでいるのに気がついていた。ある日、大学から帰ろうとするベレンに声をかけた。
「ベレン、最近どうした?何かあった?」
ベレンは顔を上げ、口を開こうとしたが、何も言えずに泣泣き始めた。
「ベレン?どうした?おれでよかったら話を聞くよ。」
ベレンの様子におどろいたヒロシは少しあわてた。
ベレンは少し落ち着いた後、ココの病気についてヒロシに話した。
「そうだったのか…それは悲しいね。」
「最近、ずっとココのことを考えています。またすぐ会えると思っていたのに、それが最後だと思わなかった。」
ベレンはもう一度泣き始めた。
「君の気持ち、わかるよ。」
ヒロシはベレンの背中を軽くたたいた。
「聞いたことあるかな、『悲しみは愛の対価』という言葉。」
ベレンは頭をふった。
「どのような意味ですか?」
「愛すれば愛するほど悲しみが深い。」
「それはイギリスの女王エリザベスが、9・11で愛する人を失った人たちのために言った言葉なんだ。」
「家族や友達、私たちは愛する人と別れるたび、悲しみを感じる。それは当然なことさ。その悲しみは私たちの愛を証明するものなのだ。」
「愛しているからこそ、別れるときに悲しくなる。」
「でも別れって、生きているうちはさけられないものじゃないか。だから、『悲しみは愛の対価』ということをがんばって理解しないといけない。」
「ベレン、いつかココと別れる日が来ることを知って、ココをかったことをくやんだか?」
考えたこともない質問だ。ベレンはいっしゅん言葉が出なかったが、
「いや、くやんでいません。」
ベレンは大きく首をふった。
「だろ?」
ヒロシはやさしく笑った。
「おれも犬をかったことがあるんだ。ソラという名前の秋田犬だった。だから、ベレンの気持ち、よくわかるんだ。」
「ソラが亡くなったとき、本当につらかった。そんなとき、おれに力を与えてくれたのはあの言葉なんだ。」
「ソラが大好きだった。別れのときの悲しみはソラを愛する対価だったから、それを否定しない覚悟をもっていたんだ。」
「残りの日は、ココとたくさん話して、一緒に過ごす時間を大切にしよう。」
ヒロシはほほえみながら、またベレンの背中を軽くたたいた。
ヒロシの話を聞いたら、ベレンの涙はだんだん落ち着いてきた。やっぱり彼の笑顔は人を安心させる力があるんだ。
「ありがとう。」
「また何かあったら、いつでも連絡して。」
ヒロシと話した日から、ベレンは毎日ココと話すことにした。病気で元気がなくなっていくココを見るとつらくなったが、ベレンはいつものように微ほほえみながらココと話していた。
一週間後、ココは亡くなった。ベレンはやはり悲しい気持ちでいっぱいだったが、ヒロシが教えてくれた言葉を思い出した。「悲しみは愛の対価」なのだ。それを理解するように努力するとベレンは決めた。
「ココがいないとさみしくなるけど、またすぐに会えるから!」
日本に着いてからすぐに、もうココに会いたくなった。それで、毎週家族と電話をするとき、ベレンは必ずココにも話す。
「ココ、いい子にしているかな?私すぐ帰るから待っていてね!」
「ココ、最近しっかり食べていないの?少しやせたように見えるよ!」
「ココ、今日ね、ココにとても似ている黒猫を見たよ!同じようなみどり色の目をしてるからココだと思ってびっくりしたの!」
「ココ、会いたい…」
しばらく会えないが、週に一度ココと話すことができることで、ココに会いたい気持ちが少しずつ落ち着いてきた。こうやって毎週ココと電話して、また直接会える日を待つことがずっと続くと思ったが、ある日、姉からの電話があった。
「おはよう、どうしたの?こんな時間に…」
ベレンはあくびをした。昨日の夜、宿題のために遅くまで起きていたので、土日はゆっくり休むつもりだった。
「ベレン、ココのことなんだけど…ココ、病気になったの。」
「えっ!」
ベレンは目を覚ました。
「数週間前から、ココはもう何度もはいたんだ。最初は胃と腸が一時的に弱くなっただけかと思っていたのだけど、先週からは全く食事ができなくなったの。」
「動物病院に連れて行った?お医者さんはどう言ったの?」
ベレンはくちびるをかみ、額には汗をかいてきた。
「進みが速い病気だって。たぶん数週間しか生きられない可能性もあるって…」
「ベレン?」
(ココの様子を見にいくべきなのだろうか?)
ベレンは何も考えられなくなり、言葉が出てこなかった。
電話を切った後、ベレンはベッドに座って泣いた。
「ココ、またすぐに会おうねって約束したのに、なんでこんなことに…」
ココが病気になったことを知ってから、ベレンが眠れる夜はなかった。目を閉じると必ず、ココのすがたを思い出される。いつもそばにいるココ、夜の妖精のようなみどり色の目をしているココ。思い出すと、また涙が出る。
ヒロシはベレンの気分が沈んでいるのに気がついていた。ある日、大学から帰ろうとするベレンに声をかけた。
「ベレン、最近どうした?何かあった?」
ベレンは顔を上げ、口を開こうとしたが、何も言えずに泣泣き始めた。
「ベレン?どうした?おれでよかったら話を聞くよ。」
ベレンの様子におどろいたヒロシは少しあわてた。
ベレンは少し落ち着いた後、ココの病気についてヒロシに話した。
「そうだったのか…それは悲しいね。」
「最近、ずっとココのことを考えています。またすぐ会えると思っていたのに、それが最後だと思わなかった。」
ベレンはもう一度泣き始めた。
「君の気持ち、わかるよ。」
ヒロシはベレンの背中を軽くたたいた。
「聞いたことあるかな、『悲しみは愛の対価』という言葉。」
ベレンは頭をふった。
「どのような意味ですか?」
「愛すれば愛するほど悲しみが深い。」
「それはイギリスの女王エリザベスが、9・11で愛する人を失った人たちのために言った言葉なんだ。」
「家族や友達、私たちは愛する人と別れるたび、悲しみを感じる。それは当然なことさ。その悲しみは私たちの愛を証明するものなのだ。」
「愛しているからこそ、別れるときに悲しくなる。」
「でも別れって、生きているうちはさけられないものじゃないか。だから、『悲しみは愛の対価』ということをがんばって理解しないといけない。」
「ベレン、いつかココと別れる日が来ることを知って、ココをかったことをくやんだか?」
考えたこともない質問だ。ベレンはいっしゅん言葉が出なかったが、
「いや、くやんでいません。」
ベレンは大きく首をふった。
「だろ?」
ヒロシはやさしく笑った。
「おれも犬をかったことがあるんだ。ソラという名前の秋田犬だった。だから、ベレンの気持ち、よくわかるんだ。」
「ソラが亡くなったとき、本当につらかった。そんなとき、おれに力を与えてくれたのはあの言葉なんだ。」
「ソラが大好きだった。別れのときの悲しみはソラを愛する対価だったから、それを否定しない覚悟をもっていたんだ。」
「残りの日は、ココとたくさん話して、一緒に過ごす時間を大切にしよう。」
ヒロシはほほえみながら、またベレンの背中を軽くたたいた。
ヒロシの話を聞いたら、ベレンの涙はだんだん落ち着いてきた。やっぱり彼の笑顔は人を安心させる力があるんだ。
「ありがとう。」
「また何かあったら、いつでも連絡して。」
ヒロシと話した日から、ベレンは毎日ココと話すことにした。病気で元気がなくなっていくココを見るとつらくなったが、ベレンはいつものように微ほほえみながらココと話していた。
一週間後、ココは亡くなった。ベレンはやはり悲しい気持ちでいっぱいだったが、ヒロシが教えてくれた言葉を思い出した。「悲しみは愛の対価」なのだ。それを理解するように努力するとベレンは決めた。
ベレンは猫が大好きだ。アルゼンチンの家でココという三歳の黒猫を飼っている。黒い毛に緑色の瞳、まるで夜の妖精のようだ。ココはまだ子猫の頃からずっとベレンと一緒に住んでいる。ベレンにとっては、ココがペットというより愛しい家族の一員だ。日本に来る前は、ベレンとココは常に一緒だった。昼間は一緒に遊び、夜は一緒に寝る。もし日本に留学しなかったら、おそらくずっと一緒にいるだろう。日本に来る前日、ココを日本に連れて行けないことで、ベレンは大泣きした。出発前、ベレンはココを抱きしめ、泣きながらこう言った。
「ココがいないと寂しくなるけど、またすぐに会えるから!」
日本に着いてから間もなく、もうココに会いたくなった。それで、毎週家族と電話をする際、ベレンは必ずココにも話す。
「ココ、いい子してるかな?私すぐ帰るから待っててね!」
「ココ、最近ちゃんと食べてないの?なんか痩せたみたいだけど!」
「ココ、今日はね、ココにそっくりの黒猫を見かけたよ!同じような緑色の瞳をしてるからココだと思ってびっくりしたの!」
「ココ、会いたいよ…」
しばらく会えないが、週に一度ココと話せることで、ココに会いたい気持ちが徐々におさまった。こうして毎週ココと電話しつつ、再会の日を待つことがずっと続くと思ったが、ある日、姉からの電話があった。
「おはよう、どうしたの?こんな時間に…」
ベレンはあくびをした。昨夜、宿題のため徹夜したばかりで、週末はゆっくり休むつもりだった。
「ベレン、ココのことなんだけど…ココ、病気になったの。」
「えっ!」
ベレンは目を覚ました。
「数週間前から、ココはもう何度も吐いたんだ。最初はただ胃腸の問題だと思ってたけど、先週からは全く食事が摂れなくなったの。」
「獣医に連れて行った?お医者さんはどう言ったの?」
ベレンは唇をかみしめ、額に汗が滲んできた。
「急性の病気だって。たぶん数週間しか生きられないかもって…」
「ベレン?」
(ココの様子を見にいくべきかしら?)
ベレンの頭は真っ白になり、何も言葉が出てこなかった。
電話を切った後、ベレンはベッドに座って涙がこぼれた。
「ココ、またすぐに会えるって約束したのに、なんでこんなことに…」
ココが病気になったことを知って以来、ベレンが眠れる夜はなかった。目を閉じるたび、ココの姿が浮かんでくる。いつもそばにいるココ、夜の妖精のような緑色の瞳をしているココ。思い出すと、また涙が出る。
ヒロシはベレンが落ち込んでいるのに気づいていた。ある日、大学から帰ろうとするベレンを呼び止めて聞いた。
「ベレン、最近どうした?何かあった?」
ベレンは顔を上げ、口を開こうとしたが、何も言えずに泣き始めた。
「ベレン?どうした?俺でよかったら話を聞くよ。」
ベレンの反応に驚いたヒロシは少し慌てふためいた。
少し落ち着いた後、ベレンはココの病気についてヒロシに話した。
「そうだったのか…それは悲しいね。」
「最近、ずっとココのことを考えています。またすぐ会えると思っていたのに、それが最後だと思わなかった。」
ベレンはまた泣き始めた。
「君の気持ち、わかるよ。」
ヒロシはベレンの背中を軽く叩いた。
「聞いたことあるかな、『悲しみは愛の対価』って言葉。」
ベレンは頭を振った。
「どういう意味ですか?」
「愛した分だけ悲しみが深い。」
「それはイギリスの女王エリザベスが、9・11で愛する人を失った人々を支えるメッセージとして言った言葉なんだ。」
「家族や友達、私たちは愛する人と別れるたび、悲しみを感じる。それは当然なことさ。私たちの愛の証なのだ。」
「愛しているからこそ、別れる時に悲しみを感じる。」
「でも別れって、人生にとって避けられないものじゃないか。だから、『悲しみは愛の対価』っていうことを頑張って受け入れるしかないんだ。」
「ベレン、いつかココと別れる日が来ることを知って、ココを飼ったことを後悔したか?」
考えたこともない質問だ。ベレンは一瞬言葉に詰まった。
「いや、後悔していません。」
ベレンは大きく首を振った。
「でしょう?」
ヒロシはふんわりと笑った。
「俺も犬を飼ったことがあるんだ。ソラっていう秋田犬だった。だから、ベレンの気持ち、よくわかるんだ。」
「ソラが亡くなったとき、本当につらかった。そんなとき、俺に力を与えてくれたのはあの言葉なんだ。」
「ソラが大好きだった。最後に悲しみと向き合うのはソラを愛する対価だったから、それを受け入れる覚悟も持っていたんだ。」
「残りの日は、ココとたくさん話して、一緒に過ごす時間を大切にしよう。」
ヒロシは微笑みながら、またベレンの背中を軽く叩いた。
ヒロシの話を聞いた後、ベレンの涙はだんだん収まってきた。やっぱり彼の笑顔は人を安心させる力があるんだ。
「ありがとう。」
「また何かあったら、いつでも連絡して。」
ヒロシと話した後、ベレンは毎日ココと話すことにした。病気で衰弱しているココを見ると胸が痛んだが、ベレンはいつものように微笑みながらココと話していた。
一週間後、ココは亡くなった。ベレンはやはり悲しい気持ちでいっぱいだったが、ヒロシが教えてくれた言葉を思い出した。「悲しみは愛の対価」なのだ。それを受け入れるように努力するとベレンは決めた。
「ココがいないと寂しくなるけど、またすぐに会えるから!」
日本に着いてから間もなく、もうココに会いたくなった。それで、毎週家族と電話をする際、ベレンは必ずココにも話す。
「ココ、いい子してるかな?私すぐ帰るから待っててね!」
「ココ、最近ちゃんと食べてないの?なんか痩せたみたいだけど!」
「ココ、今日はね、ココにそっくりの黒猫を見かけたよ!同じような緑色の瞳をしてるからココだと思ってびっくりしたの!」
「ココ、会いたいよ…」
しばらく会えないが、週に一度ココと話せることで、ココに会いたい気持ちが徐々におさまった。こうして毎週ココと電話しつつ、再会の日を待つことがずっと続くと思ったが、ある日、姉からの電話があった。
「おはよう、どうしたの?こんな時間に…」
ベレンはあくびをした。昨夜、宿題のため徹夜したばかりで、週末はゆっくり休むつもりだった。
「ベレン、ココのことなんだけど…ココ、病気になったの。」
「えっ!」
ベレンは目を覚ました。
「数週間前から、ココはもう何度も吐いたんだ。最初はただ胃腸の問題だと思ってたけど、先週からは全く食事が摂れなくなったの。」
「獣医に連れて行った?お医者さんはどう言ったの?」
ベレンは唇をかみしめ、額に汗が滲んできた。
「急性の病気だって。たぶん数週間しか生きられないかもって…」
「ベレン?」
(ココの様子を見にいくべきかしら?)
ベレンの頭は真っ白になり、何も言葉が出てこなかった。
電話を切った後、ベレンはベッドに座って涙がこぼれた。
「ココ、またすぐに会えるって約束したのに、なんでこんなことに…」
ココが病気になったことを知って以来、ベレンが眠れる夜はなかった。目を閉じるたび、ココの姿が浮かんでくる。いつもそばにいるココ、夜の妖精のような緑色の瞳をしているココ。思い出すと、また涙が出る。
ヒロシはベレンが落ち込んでいるのに気づいていた。ある日、大学から帰ろうとするベレンを呼び止めて聞いた。
「ベレン、最近どうした?何かあった?」
ベレンは顔を上げ、口を開こうとしたが、何も言えずに泣き始めた。
「ベレン?どうした?俺でよかったら話を聞くよ。」
ベレンの反応に驚いたヒロシは少し慌てふためいた。
少し落ち着いた後、ベレンはココの病気についてヒロシに話した。
「そうだったのか…それは悲しいね。」
「最近、ずっとココのことを考えています。またすぐ会えると思っていたのに、それが最後だと思わなかった。」
ベレンはまた泣き始めた。
「君の気持ち、わかるよ。」
ヒロシはベレンの背中を軽く叩いた。
「聞いたことあるかな、『悲しみは愛の対価』って言葉。」
ベレンは頭を振った。
「どういう意味ですか?」
「愛した分だけ悲しみが深い。」
「それはイギリスの女王エリザベスが、9・11で愛する人を失った人々を支えるメッセージとして言った言葉なんだ。」
「家族や友達、私たちは愛する人と別れるたび、悲しみを感じる。それは当然なことさ。私たちの愛の証なのだ。」
「愛しているからこそ、別れる時に悲しみを感じる。」
「でも別れって、人生にとって避けられないものじゃないか。だから、『悲しみは愛の対価』っていうことを頑張って受け入れるしかないんだ。」
「ベレン、いつかココと別れる日が来ることを知って、ココを飼ったことを後悔したか?」
考えたこともない質問だ。ベレンは一瞬言葉に詰まった。
「いや、後悔していません。」
ベレンは大きく首を振った。
「でしょう?」
ヒロシはふんわりと笑った。
「俺も犬を飼ったことがあるんだ。ソラっていう秋田犬だった。だから、ベレンの気持ち、よくわかるんだ。」
「ソラが亡くなったとき、本当につらかった。そんなとき、俺に力を与えてくれたのはあの言葉なんだ。」
「ソラが大好きだった。最後に悲しみと向き合うのはソラを愛する対価だったから、それを受け入れる覚悟も持っていたんだ。」
「残りの日は、ココとたくさん話して、一緒に過ごす時間を大切にしよう。」
ヒロシは微笑みながら、またベレンの背中を軽く叩いた。
ヒロシの話を聞いた後、ベレンの涙はだんだん収まってきた。やっぱり彼の笑顔は人を安心させる力があるんだ。
「ありがとう。」
「また何かあったら、いつでも連絡して。」
ヒロシと話した後、ベレンは毎日ココと話すことにした。病気で衰弱しているココを見ると胸が痛んだが、ベレンはいつものように微笑みながらココと話していた。
一週間後、ココは亡くなった。ベレンはやはり悲しい気持ちでいっぱいだったが、ヒロシが教えてくれた言葉を思い出した。「悲しみは愛の対価」なのだ。それを受け入れるように努力するとベレンは決めた。