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自分探しの旅
高野山
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和歌山県(わかやまけん)の北にある高野山(こうやさん)は、平安時代(へいあんじだい:794年から1185年までの日本史の時代)のはじめに弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい:平安時代のお坊さん)によって作られた日本ぶっきょうの大切な場所である。2004年には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によって「紀伊山地(きいさんち:和歌山県、奈良県、三重県の山が広がる地域)の聖地(せいち:宗教で大切な場所)と参詣道(さんけいどう:神社やお寺におまいりするための道)」として世界いさんに選ばれた。「高野山」とよばれているが、本当の山の名前ではなく、周りを山にかこまれた山の上の広い場所を意味している。高野山内には、奥之院(おくのいん)、総本山(そうほんざん)・金剛峯寺(こんごうぶじ)をふくむ117のお寺がたてられている。高野山全体が、お寺のしきちとされ、「一山境内地(いっさんけいないち)」と言われている。お寺の中に町が広がり、「壇上伽藍(だんじょうがらん)」とよばれる根本道場(こんぽんどうじょう:宗教の中心となる大事なお寺などの場所)を中心に、宗教かつどうが行われる町を作っている。1200年ものれきしを持つ高野山は、今でも人々が信じている場所だ。
「ここはあの『高野山』、ユミが言ってたパワースポットね。」
ベレンは目を上げ、ずっとつづく山の道と、りょうがわの木を見た。ここはたしかに他の場所とはちがって、ふしぎな雰囲気がしている。
「福智院(ふくちいん)はこちらかな?」
ケータイを見ながら、ベレンは山林の奥に向かった。
一週間前。
「高野山って知ってる?」
ベレンの前で座っている女の子が、手に持っていたコーヒーをおいて聞いた。
「こうやさん?聞いたことがないな。どこかの山ですか?」
知らない名前だった。ベレンは首をふり、答えた。
高野山の話をはじめたのはユミだった。ユミはベレンが音楽コンサートで知り合った日本人の友だちだ。最近ベレンがしょうらいについて心配していることを知ったユミは、そうだんをしようと思ってベレンをさそった。
「ちがう、ちがう、山じゃないの。」
ユミは声を出して笑った。
「高野山は地名なんだよ。そこにたくさんの寺がたてられていて、日本のぶっきょうにとって特別な場所なんだ。」
「なるほど。」
ベレンはわかったような、わかっていないような顔をして、とにかくうなずいた。
「そこは日本でとても有名なパワースポットなんだよ!行ってみない?」
ユミは目をまるくして急にていあんした。
「え?なんで?」
ベレンは急なていあんにおどろいた。
「最近、将来のことでずっとなやんでいるでしょう?一人でなやむより、高野山に行ってパワーを感じたほうがいいんじゃない?」
「気分をかえるためにもいいでしょう。」
「そこにたくさんの寺があるから、神様からの何かの手がかりが見つかるかもしれないよ。」
意味深そうなほほえみがユミの顔にうかんだ。
「どう?もう少し考えてみない?」
「じゃあ、ユミは、行ったことがありますか?」
その熱心さにおされ、ベレンは急に話題をかえた。
「あるよ!」
ユミはまたコーヒーを持ち上げ、少し飲んだ。
「それで、神様から何かヒントをえられたんですか?」
その答えを聞いて、ベレンのきょうみが急に強くなった。
「うーん、それは言葉じゃ表現しにくいね。身をもって感じるしかないの。」
また意味深そうなほほえみが出た。
「どういう意味ですか?」
「この前に発表が上手くいかなかった時、高野山に行ってリフレッシュしたことがあるんだ。」
「その体験は言葉にできないけれど、たしかに新しい考えがたくさん出てきた。」
「まあ、もちろん、じっさいどんな体験ができるのかは人それぞれだけど、行ってみるかちはあると思うよ。」
まだまよっているが、しんけんな顔をしているユミを見てベレンはうなずいた。
ユミと別れた後、ベレンはユミの言葉を頭の中で何度も何度も考えた。高野山に行って神様からヒントをえるのはどうかなと思うが、気分をかえるためにたしかにいいアイデアかもしれないと感じた。一週間後、ベレンは一人で高野山へ行った。
「ここはあの『高野山』、ユミが言ってたパワースポットね。」
ベレンは目を上げ、ずっとつづく山の道と、りょうがわの木を見た。ここはたしかに他の場所とはちがって、ふしぎな雰囲気がしている。
「福智院(ふくちいん)はこちらかな?」
ケータイを見ながら、ベレンは山林の奥に向かった。
一週間前。
「高野山って知ってる?」
ベレンの前で座っている女の子が、手に持っていたコーヒーをおいて聞いた。
「こうやさん?聞いたことがないな。どこかの山ですか?」
知らない名前だった。ベレンは首をふり、答えた。
高野山の話をはじめたのはユミだった。ユミはベレンが音楽コンサートで知り合った日本人の友だちだ。最近ベレンがしょうらいについて心配していることを知ったユミは、そうだんをしようと思ってベレンをさそった。
「ちがう、ちがう、山じゃないの。」
ユミは声を出して笑った。
「高野山は地名なんだよ。そこにたくさんの寺がたてられていて、日本のぶっきょうにとって特別な場所なんだ。」
「なるほど。」
ベレンはわかったような、わかっていないような顔をして、とにかくうなずいた。
「そこは日本でとても有名なパワースポットなんだよ!行ってみない?」
ユミは目をまるくして急にていあんした。
「え?なんで?」
ベレンは急なていあんにおどろいた。
「最近、将来のことでずっとなやんでいるでしょう?一人でなやむより、高野山に行ってパワーを感じたほうがいいんじゃない?」
「気分をかえるためにもいいでしょう。」
「そこにたくさんの寺があるから、神様からの何かの手がかりが見つかるかもしれないよ。」
意味深そうなほほえみがユミの顔にうかんだ。
「どう?もう少し考えてみない?」
「じゃあ、ユミは、行ったことがありますか?」
その熱心さにおされ、ベレンは急に話題をかえた。
「あるよ!」
ユミはまたコーヒーを持ち上げ、少し飲んだ。
「それで、神様から何かヒントをえられたんですか?」
その答えを聞いて、ベレンのきょうみが急に強くなった。
「うーん、それは言葉じゃ表現しにくいね。身をもって感じるしかないの。」
また意味深そうなほほえみが出た。
「どういう意味ですか?」
「この前に発表が上手くいかなかった時、高野山に行ってリフレッシュしたことがあるんだ。」
「その体験は言葉にできないけれど、たしかに新しい考えがたくさん出てきた。」
「まあ、もちろん、じっさいどんな体験ができるのかは人それぞれだけど、行ってみるかちはあると思うよ。」
まだまよっているが、しんけんな顔をしているユミを見てベレンはうなずいた。
ユミと別れた後、ベレンはユミの言葉を頭の中で何度も何度も考えた。高野山に行って神様からヒントをえるのはどうかなと思うが、気分をかえるためにたしかにいいアイデアかもしれないと感じた。一週間後、ベレンは一人で高野山へ行った。
和歌山県北部に位置する高野山は、平安時代の初めに弘法大師空海によって創設された日本仏教の聖地である。2004年には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によって「紀伊山地の聖地と参詣道」として世界遺産に登録された。「高野山」と呼ばれているが、実在する山の名前ではなく、周囲の山々に囲まれた山上盆地全体を指している。高野山内には、奥之院、坛上伽藍、総本山・金剛峯寺を含む117の寺院が建てられている。高野山全域は寺の境内地とされ、「一山境内地」と言われている。境内には町並みが広がり、「壇上伽藍」と呼ばれる根本道場を中心とする宗教都市を形成している。1200年もの歴史を持つ高野山は、現在でも人々の信仰を集めている。
「ここはあの『高野山』、ユミが言ってたパワースポットね。」
ベレンは目を上げ、果てしなく続く山道と、その両側に茂る木々を見つめた。ここは確かに他の場所とは異なり、不思議な雰囲気が漂っている。
「福智院はこちらかな?」
手元にあるスマートフォンを見ながら、ベレンは山林の奥へと足を進めた。
一週間前。
「高野山って知ってる?」
ベレンの向かいに座っている女の子が、手に持っていたコーヒーを置いて聞いた。
「こうやさん?聞いたことがないな。どこかの山ですか?」
知らない名前だった。ベレンは首を振り、答えた。
高野山の話題を切り出したのはユミだった。ユミはベレンが音楽コンサートで知り合った日本人の友達だ。最近ベレンが将来について迷っていることを知ったユミは、悩み相談をしようと思ってベレンを誘った。
「違う違う、山じゃないの。」
ユミはけらけらと笑った。
「高野山は地名なんだよ。そこにたくさんの寺が建てられていて、日本仏教の聖地なんだ。」
「なるほど。」
ベレンはわかったような、わかっていないような表情をして、とにかく頷いた。
「そこは日本有数のパワースポットなんだよ!行ってみない?」
ユミは眼をくるくるさせて急に提案した。
「え?なんで?」
ベレンは突然の提案に戸惑った。
「最近、将来のことでずっと悩んでいるでしょう?一人で悩むより、高野山に行ってパワーを感じ取ったほうがいいんじゃない?」
「気分転換としてもいいでしょう。」
「そこにたくさんの寺があるから、神様から何かヒントを得られるかもしれないよ。」
意味深そうな笑みがユミの顔に浮かんだ。
「どう?もう少し考えてみない?」
「じゃあ、ユミは、行ったことがありますか?」
その熱心さに押され、ベレンは急に話題を変えた。
「あるよ!」
ユミはまたコーヒーを持ち上げ、ひと口飲んだ。
「それで、神様から何かヒントを得られたんですか?」
その答えを聞いて、ベレンの好奇心が急に湧いた。
「うーん、それは言葉じゃ表現しにくいね。身をもって感じるしかないの。」
また意味深そうな笑みが浮かんだ。
「どういう意味ですか?」
「この前に演奏が上手くいかなかった時、高野山に行ってリフレッシュしたことがあるんだ。」
「その体験は言葉で表現できないけど、確かに新たなアイデアがたくさん湧いてきた。」
「まあ、もちろん、実際どんな体験ができるのかは人それぞれだけど、行ってみる価値はあると思うよ。」
まだ迷っているが、真剣な顔をしているユミを見てベレンは頷いた。
ユミと別れた後、ベレンはユミの言葉を頭の中で何度も何度も考えた。高野山に行って神様からヒントを得るのはどうかなと思うが、気分転換として確かにいいアイデアかもしれないと感じた。一週間後、ベレンは一人で高野山へ旅立った。
「ここはあの『高野山』、ユミが言ってたパワースポットね。」
ベレンは目を上げ、果てしなく続く山道と、その両側に茂る木々を見つめた。ここは確かに他の場所とは異なり、不思議な雰囲気が漂っている。
「福智院はこちらかな?」
手元にあるスマートフォンを見ながら、ベレンは山林の奥へと足を進めた。
一週間前。
「高野山って知ってる?」
ベレンの向かいに座っている女の子が、手に持っていたコーヒーを置いて聞いた。
「こうやさん?聞いたことがないな。どこかの山ですか?」
知らない名前だった。ベレンは首を振り、答えた。
高野山の話題を切り出したのはユミだった。ユミはベレンが音楽コンサートで知り合った日本人の友達だ。最近ベレンが将来について迷っていることを知ったユミは、悩み相談をしようと思ってベレンを誘った。
「違う違う、山じゃないの。」
ユミはけらけらと笑った。
「高野山は地名なんだよ。そこにたくさんの寺が建てられていて、日本仏教の聖地なんだ。」
「なるほど。」
ベレンはわかったような、わかっていないような表情をして、とにかく頷いた。
「そこは日本有数のパワースポットなんだよ!行ってみない?」
ユミは眼をくるくるさせて急に提案した。
「え?なんで?」
ベレンは突然の提案に戸惑った。
「最近、将来のことでずっと悩んでいるでしょう?一人で悩むより、高野山に行ってパワーを感じ取ったほうがいいんじゃない?」
「気分転換としてもいいでしょう。」
「そこにたくさんの寺があるから、神様から何かヒントを得られるかもしれないよ。」
意味深そうな笑みがユミの顔に浮かんだ。
「どう?もう少し考えてみない?」
「じゃあ、ユミは、行ったことがありますか?」
その熱心さに押され、ベレンは急に話題を変えた。
「あるよ!」
ユミはまたコーヒーを持ち上げ、ひと口飲んだ。
「それで、神様から何かヒントを得られたんですか?」
その答えを聞いて、ベレンの好奇心が急に湧いた。
「うーん、それは言葉じゃ表現しにくいね。身をもって感じるしかないの。」
また意味深そうな笑みが浮かんだ。
「どういう意味ですか?」
「この前に演奏が上手くいかなかった時、高野山に行ってリフレッシュしたことがあるんだ。」
「その体験は言葉で表現できないけど、確かに新たなアイデアがたくさん湧いてきた。」
「まあ、もちろん、実際どんな体験ができるのかは人それぞれだけど、行ってみる価値はあると思うよ。」
まだ迷っているが、真剣な顔をしているユミを見てベレンは頷いた。
ユミと別れた後、ベレンはユミの言葉を頭の中で何度も何度も考えた。高野山に行って神様からヒントを得るのはどうかなと思うが、気分転換として確かにいいアイデアかもしれないと感じた。一週間後、ベレンは一人で高野山へ旅立った。