Coming soon!

　ベレンはアルゼンチンからの留学生りゅうがくせいだ。子どものころから、日本の文化ぶんかに強つよいきょうみを持もっており、日本での生活せいかつにもきょうみがあった。それで、留学生りゅうがくせいとして日本に来たことをとてもよろこんでいる。日本で生活せいかつし、勉強べんきょうできるなんて、ゆめにも思おもわなかった。
　日本で生活せいかつしている数か月すうかげつ間、ベレンは書道しょどう（文字もじを書くげいじゅつ）や茶道さどう（お茶を入れて飲む日本のでんとうてきな文化ぶんか）など、いろいろな日本の文化ぶんかにふれて、周まわりの神社じんじゃやふしぎな場所ばしょに行って、日本での楽たのしい時間を過すごしている。また、多おおくの文化ぶんかイベントにさんかしたおかげで、日本人の友だちもできた。その中には、ベレンの心こころをつかんだ男の子もいる。
　楽たのしい日々を過すごしているベレンは、自分じぶんがいつかアルゼンチンに帰かえることをわすれるほどだった。しかし、時間がたって、帰国きこくの日がますます近ちかづいてきた。ベレンはだんだんとなやむようになった。

　「卒業そつぎょうしたらどうするつもり？」
　「日本にのこりたいの？」
　毎週まいしゅう電話をしている姉あねが聞いた。
　「うーん…まだよくわからないの。」
　「留学生りゅうがくせいとして日本にいるのは楽たのしいけど、卒業そつぎょうした後ここで働はたらくことになると、またちがうかもしれない。」
　「まず、言語げんごの問題もんだいが大きいね。」
　ベレンはてんじょうを見ながら頭あたまをかいた。
　「ねえ、しょうじきに言いって。日本にのこりたいのは、あの日本人の男の子のためなの？」
　姉あねはちょっと笑わらった。
　「ちがうわよ！何を言いってるの？」
　ベレンはベッドから急きゅうに立ち上がり、顔かおが真まっ赤かになった。
　つらい、今姉あねにはこのようすが見えていない。もし姉あねに見られたら、またからかわれることになるだろう。
　「わかったわかった。そんなに心配しんぱいしないで。」
　姉あねはこえを立たてて笑わらった。
　「でもいずれアルゼンチンに帰かえるでしょう？まだ卒業そつぎょうしてないし。」
　「1年ってあっという間だから、早はやめに考かんがえておいたほうがいいわよ。」
　まゆをひそめて、ベレンは返事へんじしなかった。
　そんなこと、自分じぶんでもわかっている。

　姉あねとの電話の後、ベレンの心こころはさらに不安ふあんになり、ますますおちつかなくなった。
　日本に来てからの毎日はとても楽たのしいものだった。特とくに、ヒロシとの出会であいは。いっしょに勉強べんきょうする日を楽たのしみにしていた毎日は特別とくべつなものだった。もしアルゼンチンに帰国きこくしたら、こうした日々は、もう二度にどともどってこないだろう。そう思おもうと、ベレンは思おもわずためいきをついてしまった。
　ヒロシはたしかにやさしい男だ。それは恋こいというものなのか、ベレン自身じしんにも分からないが、彼かれといっしょにいることで心こころがしずまるのはたしかだった。きれいに日焼ひやけしたかわで白い歯はが目立めだち、えがおを見せると太陽たいようのようにかがやいた。そのえがおを見れば、どんな心配しんぱいも忘わすれることができるだろう。
　しかし、大学を卒業そつぎょうするために、留学期間りゅうがくきかんが終おわった後、ベレンはアルゼンチンに帰かえらなければならないげんじつが近ちかづいている。ヒロシへの気持きもちがどうであれ、これはにげられない問題もんだいであるのだ。もし…もしもの話だが、もし自分じぶんとヒロシとが本当ほんとうに恋こいにおちたとしたら、二人はいろんな問題もんだいをのりこえなければならないことは間違まちがいないのだ。アルゼンチンと日本の時差じさは12時間もあり、飛行機ひこうきに乗のったら、24時間以上いじょうかかる。えんきょり恋愛れんあいは長くつづかないことが多おおい。さいしゅうてきには2人の未来みらいについての難むずかしいせんたくをしなければならなくなるだろう。
　「私、何をかってに考かんがえてんだ？」
　ヒロシにとって、自分じぶんはただの友だちかもしれないし。
　考かんがえをぜんぶ消けしたいように、ベレンは大きく首くびをふり、ふとんの中に入った。
　「寝ねよう。」

　ベレンはアルゼンチンからの交換留学生だ。子供の頃から、日本の文化に強い興味を持っており、日本での生活に憧れていた。そのため、留学生として日本に来たことを非常に喜んでいる。日本で生活し、勉強できるなんて、夢にも思わなかった。
　日本で生活している数か月間、ベレンは書道や茶道など、様々な日本の文化を体験し、地元の神社や謎にみちた場所を訪れ、楽しい日本生活を満喫している。また、多くの文化イベントに参加したおかげで、日本人の友達もできた。その中には、ベレンの心をつかんだ男の子もいる。
　楽しい日々を過ごしているベレンは、自分がいつかアルゼンチンに帰ることを忘れるほどだった。しかし、時間が経つにつれ、帰国の日がますます近づいてきた。ベレンはだんだんと悩むようになった。

　「卒業したらどうするつもり？」
　「日本に残りたいの？」
　毎週電話をしている姉が聞いた。
　「うーん…まだよくわからないの。」
　「留学生として日本にいるのは楽しいけど、卒業した後ここで働くことになると、また違うかもしれない。」
　「まず、言語の問題が大きいね。」
　ベレンは天井を見上げながら頭をかいた。
　「ねえ、正直に言って。日本に残りたいのは、あの日本人の男の子のためなの？」
　姉はいたずらっぽく笑った。
　「違うわよ！何を言ってるの？」
　ベレンはベッドから飛び上がり、顔が真っ赤になった。
　幸い、今姉にはこの様子が見えていない。もし姉に見られたら、またからかわれることになるだろう。
　「わかったわかった。そんなに緊張しないで。」
　姉は声を立てて笑った。
　「でもいずれアルゼンチンに帰るでしょう？まだ卒業してないし。」
　「1年ってあっという間だから、早めに考えておいたほうがいいわよ。」
　眉のあたりにしわを寄せ、ベレンは返事しなかった。
　そんなこと、自分でもわかっている。

　姉との電話を終えた後、ベレンの心はさらに波立ち、ますます落ち着かなくなった。
　日本に来てからの毎日は非常に楽しいものだった。特に、ヒロシとの出会いは。一緒に勉強する日を心待ちにしている毎日が特別だった。もしアルゼンチンに帰国したら、こうした日々は二度と訪れないだろう。そう思うと、ベレンは思わずため息をついてしまった。
　ヒロシは確かに優しい男だ。それは恋というものなのか、ベレン自身にも分からないが、彼と一緒にいることで心が静まるのは確かだった。きれいに日焼けした肌で白い歯が際立ち、笑顔を見せると太陽のように輝いた。その笑顔を見れば、どんな悩みも忘れることができるだろう。
　しかし、学業を終えるために、交換留学期間が終了した後、ベレンはアルゼンチンに帰らざるを得ない現実が迫っている。ヒロシへの気持ちがどうであれ、これは避けられない問題であるのだ。もし…もしもの話だが、もし自分とヒロシとが本当に恋に落ちたとしたら、二人は多くの試練に立ち向かわねばならないことは間違いないのだ。アルゼンチンと日本の時差は12時間もあり、飛行機を利用する移動にも24時間以上かかる。遠距離恋愛は長持ちしない。最終的には2人の未来についての難しい決断を迫られることになるだろう。
　「私、何を勝手に妄想してんだ？」
　ヒロシにとって、自分はただの友達かもしれないし。
　頭の中の考えを一掃したいように、ベレンは大きく首を振り、布団に潜り込んだ。
　「寝よう。」