Coming soon!

　大会に出るのはベレンの意見だったが、ユミも出たくなったので、参加したい気持ち段々強くなってきて、熱心に練習していた。でも、どんな曲を大会でひけばいいか、まだ決めていない。
「アルゼンチンって有名な曲の種類とかあるの？」とある練習のとき、ユミはたずねた。
「そうだね。アルゼンチンの音楽だと、やっぱりタンゴだよ」
「タンゴ？それはダンスじゃないか」
「ダンスだけど、タンゴの音楽も歌もあるよ」
「へー。聞いてみたいよ」
「じゃあ、聞こうか」とベレンは言って、スマホを手に取った。すぐに、彼女たちが練習している教室で音楽が聞こえてきた。最初はさわやかなバイオリンとピアノの音がでて、優しい音楽が静かに流れたけれど、急に悲しい音楽に変わってきた。そういうパターンが何回もくりかえされた。バイオリンとピアノははげしい恋の話をかたるようだ。タンゴに違いない。ユミはこれを聞いて、ドキドキして、感動した。
「感動した。何の曲なの？」
「「 Por Una Cabeza ポル・ウナ・カベサ」という曲だ。すごく有名なの」
「きれいだね。ぜひひいてみたいな」
「本当？私には、この曲をひくのはちょっと難しいかも。できるかどうか…」
「とにかくやってみよう。きっとできると思うよ」とユミは自信のある声で言った。ベレンはとても熱心なユミの言葉を聞いて、少しびっくりしたけれど、胸の中で暖かい気持ちになっていて、ちょっとだけ自信がついた。
「じゃあ、楽譜がくふを探してみるよ」とベレンは笑った。
　大会は来月なので、時間があまりなかった。だから、準備のために、ベレンとユミはほぼ毎日練習するようになった。練習で勉強ができなくならないように、ユミは休みの時間、パソコンで課題をしたり、いつもなにかを勉強したりした。やっぱり真面目なんだなぁとベレンは思った。ベレンも授業じゅぎょうで忙しかったが、時間があったら、音楽サークルの教室に行って、練習するようにした。思った通り、 Por Una Cabeza ポル・ウナ・カベサのピアノパートは簡単ではなく、ベレンにとって挑戦ちょうせんになった。指の動きが遅かったのか、時々動きにくかった。そして、一人で練習すると、また元のピアノの先生の声が頭にひびいた。「勉強できないのか？いつも同じ間違いをしているよ。もういい」ベレンはピアノいすに座って、けんばんを触ろうとしたけれど、結局ため息をついて、手をひざに落とした。ユミがいないと、集中するのは難しかった。
　今夜、ベレンとユミが練習してから、一緒に帰っているとき、ベレンは言った。
「この曲はね、私には難しすぎるかも。いくら練習しても、よく間違える」
「大丈夫だいじょうぶだよ。間違えても問題ないから」
ベレンは不思議ふしぎそうな顔をして、ユミを見つめていた。
「さるも木から落ちる、でしょ」とユミは笑った。
「だれでも間違えるってこと？でも、大会で間違えたら…」
「大会では関係ないよ。一番大事なのは気持ちだと思うけど」
「今は緊張きんちょうしか感じてないけど…」とベレンはつぶやいた。
「ベレンは自分のことを悪く言っている、ひいている時、私は技術ではなく、ベレンの気持ちの強さを聞いている。それはベレンの得意なところだよ。あのコンサートの時も、少し間違えたじゃないか。それでも、ひいていた曲のメッセージはちゃんと届いたよ。だから、ベレンと一緒にひきたくなった」
　ベレンはしばらく考えて、自分のひき方を反省してみた。やっぱり技術的に足りないところが多いかもしれないけど、ひいている時、ピアノを使って、何か伝えたいという気持ちが強い。気持ちを伝えられるのは、確かにベレンにとって一番大事なことだ。最初にピアノをひきたくなった理由はこれだ。自分の気持ちを伝えて、聞いている人の気持ちを動かせるって。でも、ピアノの先生のきびしさのせいで、それを忘れてしまって、技術的な問題しか見えなくなった。ユミに会って、一緒にひき始めて、そもそもピアノを始めた理由を思い出した。かんしゃの気持ちで、ユミのために何かしたいなぁとベレンは思った。
「ありがとうね。ユミに会えて本当にうれしい」とベレンは少し笑いながら、言った。
　そういう風に次の一か月中に彼女たちは一所懸命いっしょけんめいがんばって、大会の準備を進めた。あっという間に、運命の日がきた。

　コンテストに参加するのはベレンのアイディアだったが、ユミも参加したくなったので、参加する希望が段々強くなってきて、熱心に練習していた。でも、どんな曲をコンテストで弾けばいいか、まだ決めていない。
「アルゼンチンって代表的なジャンルとかあるの？」とある練習のとき、ユミは尋ねた。
「そうだね。アルゼンチンの音楽だと、やっぱりタンゴだよ」
「タンゴ？それはダンスじゃないか」
「ダンスだけど、タンゴの音楽も歌もあるよ」
「へー。聞いてみたいよ」
「じゃあ、聞こうか」とベレンは言って、スマホを取り出した。あっという間に、彼女たちが練習している教室で音楽が聞こえてきた。最初は爽やかなバイオリンとピアノの音がでて、穏やかなメロディーがゆったりと流れたけど、急に悲劇的なメロディーに変わってきた。そういうパターンが何回も繰り返された。バイオリンとピアノは情熱的な恋の話を語るようだ。タンゴに違いない。ユミはこれを聞いて、ドキドキして、感動した。
「心に響いたね。何の曲なの？」
「「Por Una Cabeza」という曲だ。めっちゃ有名なの」
「きれいだね。ぜひ弾いてみたいな」
「本当？私にとって、この曲を弾くのはちょっと難しいかも。できるかどうか…」
「とにかくやってみよう。きっとできると思うよ」とユミは自信のある声で言った。ベレンはそんなに熱意のあるユミの言葉を聞いて、少しびっくりしたけど、胸の中で暖かい気持ちが広がっていて、ちょっとだけ自信がついた。
「じゃあ、楽譜を探してみるよ」とベレンは笑った。
　コンテストは来月なので、時間があまりなかった。だから、準備のために、ベレンとユミはほぼ毎日練習するようになった。練習が勉強の妨げにならないように、ユミは休憩の時、パソコンで課題をしたり、いつもなにかを勉強したりした。やっぱり真面目なんだなぁとベレンは思った。ベレンも授業で忙しかったが、余裕があったら、音楽サークルの教室に行って、練習するようにした。思った通り、Por Una Cabezaのピアノパートは簡単ではなく、ベレンにとって挑戦になった。指の動きが遅かったのか、時々動きにくかった。そして、一人で練習すると、また元のピアノの先生の声が頭に響いた。「勉強できないのか？いつも同じ間違いをしているよ。もういい」ベレンはピアノ椅子に座って、鍵盤を触ろうとしたけど、結局ため息をついて、手を膝に落とした。ユミがいないと、集中するのは難しかった。
　今夜、ベレンとユミが練習してから、一緒に帰っているとき、ベレンは言った。
「この曲はね、私にとって難しすぎるかも。いくら練習しても、よく間違える」
「大丈夫だよ。間違えても問題ないから」
ベレンは不思議そうな顔をして、ユミを見つめていた。
「猿も木から落ちる、でしょ」とユミは笑った。
「だれでも間違えるってこと？でも、コンテストで間違えたら…」
「コンテストでは関係ないよ。一番大事なのは気持ちだと思うけど」
「今は緊張しか感じてないけど…」とベレンは呟いた。
「ベレンは自分のことを卑下しているけど、弾いている時、私は技術ではなく、ベレンの気持ちの強さを聞いている。それはベレンの得意なところだよ。あのコンサートの時も、少し間違えたじゃないか。それでも、弾いていた曲のメッセージはちゃんと届いたよ。だから、ベレンと一緒に弾きたくなった」
　ベレンは考え込んで、自分の弾き方を反省してみた。やっぱり技術的に欠点が多いかもしれないけど、弾いている時、ピアノを使って、何か伝えたいっていう気持ちが強い。気持ちを伝えられるのは、確かにベレンにとって一番大事なことだ。そもそもピアノを弾きたくなった理由はこれだ。自分の気持ちを伝えて、聞いている人の気持ちを動かせるって。でも、ピアノの先生の厳しさのせいで、それを忘れてしまって、技術的な問題しか見えなくなった。ユミに会って、デュエットとして弾き始めて、そもそもピアノを始めた理由を思い出した。感謝の気持ちで、ユミのために何かしたいなぁとベレンは思った。
「ありがとうね。ユミに会えて本当に嬉しい」とベレンは微笑みながら、言った。
　そういう風に次の一か月中に彼女たちは一所懸命頑張って、コンテストの準備を進めた。あっという間に、運命の日がやってきた。