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　ベレンはユミと似ているところが多くて、話しやすかった。なんでも話すことができるような気がした。音楽の趣味しゅみも似ていて、ベレンもユミも音楽の勉強の経験があるので、二人ともクラッシック（20世紀までの西洋音楽）をよく知っていて、特にヴィヴァルディ、ベートーヴェンとチャイコフスキーの曲が好きだった。だが、クラシック音楽だけではなく、もっと最近の音楽にも興味きょうみがあって、流行りゅうこうの曲についてもよく話していた。そして、自分の国ではやっている曲をお互いに紹介していた。ベレンはアルゼンチンの曲、ユミは日本の曲。
　そして、ほぼ毎週音楽サークルで練習れんしゅうしたりして、いっしょにひくようになったので、ベレンは音楽とピアノの良さを久しぶりに感じるようになった。ユミはいろいろな曲がひけて、一緒にひくのが楽だった。ユミは、才能のあるヴァイオリニストだとベレンは思った。音楽学部に入学しないことは不思議ふしぎだ。
「実はね、バイオリンにそんな才能のある人は医学を勉強するなんて、びっくりした」
ベレンとユミはサークルで集まる前に少し時間があったので、となりの公園を歩きながら、話していた。
「才能なんてないよ。ただの趣味しゅみだから」とユミは笑った。
「趣味か」とベレンは小さな声で言った。
「プロバイオリニストになるのは難しくて。しかも、プロになっても、音楽をやる人たちの間には競争がすごく多くて。才能があってもなくても、仕事を見つけられないことが多いよ。もっと安定した仕事がいいと思う」とユミはじゅもんのように一気に言った。
ベレンはおどろいて、不思議ふしぎそうな顔をした。
「でも、医者になることもとても難しいじゃないか。時間もかかるし。そして、医者の判断が人の人生や健康けんこうに影響えいきょうを与えて、すごく責任のある仕事だよ。競争ももちろんあるし。競争はどんな仕事でもあると思うんだけど」
ユミは少し考えて、うなずいた。
「ベレンが言う通りだね。けれど、医者は音楽家よりもっと大事な仕事かなと思って。医者になって、もっと役に立てるかも」
　ベレンはその説明に納得なっとくできなかったけれど、話を変えることにした。とにかく、ユミの将来はベレンに関係ないので、もし本当に医者になりたいのなら、ベレンは何も言わないほうがいい。でも、これだけ才能のあるユミがバイオリニストになりたくないって信じられない。
　歩いたあと、ユミとベレンはまた二人で練習した。今日は他のメンバーも来たんだけれど、そのギタリストと歌手は二人で何かの歌を勉強したみたいだ。休憩の時、ベレンは挨拶をしに来た。ギタリストはタツヤという背の高い男の人で、歌手はモモカという髪の短い女の人だった。
「素敵な歌だね」とベレンは話しかけた。
「モモカがえらんだんだ」とタツヤは笑った。
「練習の時間はあまりないけど。大会に出るためにね」とモモカはため息をついた。
ベレンは首を傾げた。
「大会？」
「知らないの？来月、第12回音楽大会がある。毎年、若い音楽家のために、行われているのよ」
「へー、おもしろい！私もユミと一緒に出てみたいな」
モモカとタツヤは目が合って、急に静かになった。
「どうしたの？どうしてそんな顔？」
「興味きょうみがあれば、ベレンは一人で出られると思うけれど、ユミと一緒だとちょっと…」とモモカは言った。ベレンはまた分からない顔をした。
「えっ、なんで？あなたたちは一緒に出るんでしょ。私たちもできるんじゃないか」
「それはそうだけど…ユミは大会に興味がないみたい。演奏とかコンサートとかだと、大丈夫みたいなんだけど」
「不思議ふしぎだね。まずは、直接ちょくせつ聞いてみるよ」とベレンは答えた。
ユミに近づいてみると、彼女はバイオリンをかたづけていた。
「もう帰る？」
「うん、ごめん。明日までにレポートを書かないといけない。私、すっかり忘れていて」
「いや、全然」とベレンは顔の前で手を振った。
「ちなみに、今週の金曜日、あいている？私の家に昼ごはんを食べに来ない？家族に紹介したいの」とユミは少し笑った。
「いいよ」とベレンは笑いながら、うなずいた。

　ベレンはユミと共通点が多くて、話しやすかった。なんでも話せるような気がした。音楽の好みも似ていて、ベレンもユミも音楽の勉強の経験があるので、二人ともクラッシックに詳しくて、特にヴィヴァルディ、ベートーヴェンとチャイコフスキーの作曲に目がない。だが、クラシック音楽だけではなく、もっとモダンな音楽にも興味があって、流行の曲についてもよく話していた。そして、自分の国で流行っている曲をお互いに紹介していた。ベレンはアルゼンチンの曲、ユミは日本の曲。
　そして、ほぼ毎週音楽サークルで練習したりして、一緒に弾くようになったので、ベレンは音楽とピアノの魅力をまた感じるようになった。ユミは様々な曲が弾けて、デュエットとして弾くのが楽だった。ユミは、才能のあるヴァイオリニストだとベレンは思った。音楽学部に所属しないことは不思議だ。
「実はね、バイオリンにそんな才能のある人は医学を専攻するなんて、びっくりした」
ベレンとユミはサークルのミーティングの前に少し時間があったので、隣の公園を散歩しながら、話していた。
「才能なんてないよ。ただの趣味だから」とユミは笑った。
「趣味か」とベレンは呟いた。
「プロバイオリニストになるのは難しくて。しかも、プロになっても、音楽業界内は競争がすごく激しくて。才能に関わらず、仕事を見つけられない可能性が高いよ。もっと安定性のある仕事がいいと思う」とユミは呪文のように一気に言った。
ベレンは目を丸くして、不思議そうな顔をした。
「でも、医者になることもとても難しいじゃないか。時間もかかるし。そして、医者の判断が人の人生や健康に影響を与えて、すごく責任のある仕事だよ。競争も勿論あるし。競争って言えば、どんな業界でもあると思うんだけど」
ユミは少し考え込んで、頷いた。
「ベレンが言う通りだね。けど、医者って音楽家よりもっと大事な仕事かなと思って。医者になって、もっと貢献できるかも」
　ベレンはその説明に納得できなかったけど、話を変えることにした。とにかく、ユミの将来はベレンに関係ないので、もし本当に医者になりたいのなら、ベレンは何も言うべきではない。でも、こんなに才能のあるユミがバイオリニストになりたくないって信じがたい。
　散歩のあと、ユミとベレンはまた二人で練習した。今日は他のメンバーも来たんだけど、そのギタリストと歌手は二人で何かの歌を勉強したみたいだ。休憩の時、ベレンは挨拶をしに来た。ギタリストはタツヤという背の高い男の人で、歌手はモモカという髪の短い女の人だった。
「素敵な歌だね」とベレンは話しかけた。
「モモカが選んだんだ」とタツヤは笑った。
「練習の時間はあまりないけど。コンテストに出るためにね」とモモカはため息をついた。
ベレンは首を傾げた。
「コンテスト？」
「知らないの？来月、第12回音楽コンテストがある。毎年、若手の音楽家のために、行われているのよ」
「へー、おもしろい！私もユミと一緒に参加してみたいな」
モモカとタツヤは目が合って、急に静かになった。
「どうしたの？どうしてそんな顔？」
「興味があれば、ベレンは一人で参加できると思うけど、ユミと一緒だとちょっと…」とモモカは言った。ベレンはまた分からない顔をした。
「えっ、なんで？あなたたちはデュエットとして参加するでしょ。私たちもできるんじゃないか」
「それはそうだけど…ユミはコンテストに興味がないみたい。演奏とかコンサートとかだと、大丈夫みたいなんだけど」
「不思議だね。とりあえず、直接聞いてみるよ」とベレンは答えた。
ユミに近づいてみると、彼女はバイオリンをかたづけていた。
「もう帰る？」
「うん、ごめん。明日までにレポートを書かないといけない。私、すっかり忘れていて」
「いや、全然」とベレンは顔の前で手を振った。
「ちなみに、今週の金曜日、空いている？実家に昼ごはんを食べに来ない？家族に紹介したいの」とユミは微笑んだ。
「いいよ」とベレンは笑いながら、頷いた。