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消えゆく縁
仲直り
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ルシアはそのまま去っていった。
一体どうしたのだろう。
席にのこされたベレンはおどろき、何もできなかった。
今夜をわすれられない夜にしたかったのに。
そのために、いろいろ準備しておいたのに。
二人のけんかで終わってしまうとは、本当に考えもしていなかった。
なんて皮肉なのだろう。
ベレンはこまったように笑った。
ベレンもすっかり花火を見る気がなくなってしまった。
二人のけんかをしている声におどろいていた乗客たちが見ているのも気になり、ベレンはじっとしていられなくなった。
「私も下りよう。」
ベレンも席を立ち、船の1階に下りた。
1階に着くとすぐ、船の前の方に立っているルシアを見つけた。
海の風に吹かれて前髪が少しみだれていたが、彼女はそれをととのえようと手を伸ばすこともなく、ただしずかに花火とは反対方向を見ていた。
ルシアは何を見ているのだろう?
ベレンは考えずにはいられなかった。
なんかさびしそうだ。
ベレンはため息をつき、ルシアの方に向かわず、船の反対側を向いた。
花火は空に美しく打ち上がり、咲くのがつづいている。時々船の中から花火を褒めるような声が聞こえる。
しかし、船の左右にいる少女たちは、この美しい夜に何かが永遠に終わったような気がしていた。
花火大会が終わった後。
帰り道、2人はずっとだまっていた。
ルシアはずっと先を歩いており、後ろからついているベレンも追いつこうとは思っていなかった。
沈黙は長くつづいている。青春時代の友情はこれから一体どうなるのか、二人ともわからなかった。
それから2日の間、二人は一言も話さなかった。
毎日、ルシアはベレンが起きる前に家を出て、夜ねるまで帰ってこなかった
ベレンは何度もルシアに話しかけようと思ったが、時間が経てば経つほど、話すことがむずかしくなっていった。
その日、ルシアはいつも通り朝早く出かけたが、夕方には帰ってきた。
帰ってきたとき、ベレンはちょうど夕食を食べていた。
「もう帰ってきたの?」
しまった!まだけんか中なのに。
ベレンはあわてて口をふさいだ。
それを見て、ルシアは笑い出した。
「何を笑っているの?」
ルシアは笑いをこらえて手をふった。
「夕食がすんだら、ちょっと話そう。」
「わかった。」
とは言うけれど、やはり心の中では不安だった。
何を話してくるだろう?
何もなかったような顔をしているが、二日も話していないし、何を話したらいいのかもわからない。
食事をつづける気もなくなった。急いで食べてすぐに夕食を終えた。
「ここにいたんだ。」
バルコニーのドアを押し開けると、バルコニーの柵に寄りかかって夜の空を見上げているルシアがいた。
「何を見ているの?」
「星。」
「東京でも星が見えるんだね。」
「当然でしょう。」
ルシアの話を聞いて、ベレンは笑いをこらえられなかった。
「それはどこでも同じじゃない?」
ルシアも笑った。
「東京って大きな都市じゃない?夜も明るいから、星が見えないと思った。」
「まぁ都心部(都市の中心となる場所)だったらそうかもしれないね、でもここはちがうじゃん?」
何もなかったかのように、二人はただ一緒に星を見て、笑ったり話したりしている。
「東京の星もきれいだね。」
「アルゼンチンで見た星とあまり変わらない。」
ルシアはベレンに顔を向けた。
「え?」
ベレンはその言葉の意味がわからなかった。
「この前はごめんなさい。」
「思い出にのこる夜にするためにいろいろ用意してくれたのに、私のせいですべてが台無しになってしまった。」
ベレンは何か言おうとしたが、ルシアはそれを待たずにつづけた。
「私たち、もう大人になったよね。」
「やっぱりどんどんはなれていくんだね。」
「最初はただ違う大学に入っただけだけれど、今はもうちがう国に住んでいる。」
ルシアの話を聞きながら、ベレンはだんだんと頭を下げた。
「ねぇ、おぼえている?」
ルシアが少し笑った。
「大学に行く前、私たちが抱き合って泣きながら、毎日電話しようって約束したこと。」
「なんかもう、ずいぶんむかしのことになったみたい。」
「それで今は…」
ルシアの目が少し熱くなってきた。
「もうもどれないんだよね、私たち?」
その言葉を聞いて、ベレンも胸が苦しくなった。
楽しいことも、悲しいことも、過去にあったすべてが、時間が経つのと一緒に全部夢のようにうすれてしまった。
だれも口をきかなくなかった。
もうしばらく経った。
「私たちって、これからどうなるかな…まだ友達でいられるかな…」
ベレンは静かに泣きながら尋ねた。
「もちろんよ!」
「何バカなことを言ってるのよ!」
「ただ…」
ベレンは自分をおちつかせるように一旦止めた。
「ただ、私たちはこれからそれぞれの人生を歩んでいくから、別々の道に進むことになる。」
「そういう意味では、私たちこれからの付き合いもむかしとだいぶ変わってくると思う。」
「でも」
ベレンはルシアの手をしっかりにぎった。
「ずっと友達だよ。」
「これだけは、きっといつだって変わらないと思う。」
がまんしていた涙がついに頬からこぼれて落ちた。
ルシアはベレンをギュッと抱きしめた。
「うん!これからもずっとずっと友達だね!」
一体どうしたのだろう。
席にのこされたベレンはおどろき、何もできなかった。
今夜をわすれられない夜にしたかったのに。
そのために、いろいろ準備しておいたのに。
二人のけんかで終わってしまうとは、本当に考えもしていなかった。
なんて皮肉なのだろう。
ベレンはこまったように笑った。
ベレンもすっかり花火を見る気がなくなってしまった。
二人のけんかをしている声におどろいていた乗客たちが見ているのも気になり、ベレンはじっとしていられなくなった。
「私も下りよう。」
ベレンも席を立ち、船の1階に下りた。
1階に着くとすぐ、船の前の方に立っているルシアを見つけた。
海の風に吹かれて前髪が少しみだれていたが、彼女はそれをととのえようと手を伸ばすこともなく、ただしずかに花火とは反対方向を見ていた。
ルシアは何を見ているのだろう?
ベレンは考えずにはいられなかった。
なんかさびしそうだ。
ベレンはため息をつき、ルシアの方に向かわず、船の反対側を向いた。
花火は空に美しく打ち上がり、咲くのがつづいている。時々船の中から花火を褒めるような声が聞こえる。
しかし、船の左右にいる少女たちは、この美しい夜に何かが永遠に終わったような気がしていた。
花火大会が終わった後。
帰り道、2人はずっとだまっていた。
ルシアはずっと先を歩いており、後ろからついているベレンも追いつこうとは思っていなかった。
沈黙は長くつづいている。青春時代の友情はこれから一体どうなるのか、二人ともわからなかった。
それから2日の間、二人は一言も話さなかった。
毎日、ルシアはベレンが起きる前に家を出て、夜ねるまで帰ってこなかった
ベレンは何度もルシアに話しかけようと思ったが、時間が経てば経つほど、話すことがむずかしくなっていった。
その日、ルシアはいつも通り朝早く出かけたが、夕方には帰ってきた。
帰ってきたとき、ベレンはちょうど夕食を食べていた。
「もう帰ってきたの?」
しまった!まだけんか中なのに。
ベレンはあわてて口をふさいだ。
それを見て、ルシアは笑い出した。
「何を笑っているの?」
ルシアは笑いをこらえて手をふった。
「夕食がすんだら、ちょっと話そう。」
「わかった。」
とは言うけれど、やはり心の中では不安だった。
何を話してくるだろう?
何もなかったような顔をしているが、二日も話していないし、何を話したらいいのかもわからない。
食事をつづける気もなくなった。急いで食べてすぐに夕食を終えた。
「ここにいたんだ。」
バルコニーのドアを押し開けると、バルコニーの柵に寄りかかって夜の空を見上げているルシアがいた。
「何を見ているの?」
「星。」
「東京でも星が見えるんだね。」
「当然でしょう。」
ルシアの話を聞いて、ベレンは笑いをこらえられなかった。
「それはどこでも同じじゃない?」
ルシアも笑った。
「東京って大きな都市じゃない?夜も明るいから、星が見えないと思った。」
「まぁ都心部(都市の中心となる場所)だったらそうかもしれないね、でもここはちがうじゃん?」
何もなかったかのように、二人はただ一緒に星を見て、笑ったり話したりしている。
「東京の星もきれいだね。」
「アルゼンチンで見た星とあまり変わらない。」
ルシアはベレンに顔を向けた。
「え?」
ベレンはその言葉の意味がわからなかった。
「この前はごめんなさい。」
「思い出にのこる夜にするためにいろいろ用意してくれたのに、私のせいですべてが台無しになってしまった。」
ベレンは何か言おうとしたが、ルシアはそれを待たずにつづけた。
「私たち、もう大人になったよね。」
「やっぱりどんどんはなれていくんだね。」
「最初はただ違う大学に入っただけだけれど、今はもうちがう国に住んでいる。」
ルシアの話を聞きながら、ベレンはだんだんと頭を下げた。
「ねぇ、おぼえている?」
ルシアが少し笑った。
「大学に行く前、私たちが抱き合って泣きながら、毎日電話しようって約束したこと。」
「なんかもう、ずいぶんむかしのことになったみたい。」
「それで今は…」
ルシアの目が少し熱くなってきた。
「もうもどれないんだよね、私たち?」
その言葉を聞いて、ベレンも胸が苦しくなった。
楽しいことも、悲しいことも、過去にあったすべてが、時間が経つのと一緒に全部夢のようにうすれてしまった。
だれも口をきかなくなかった。
もうしばらく経った。
「私たちって、これからどうなるかな…まだ友達でいられるかな…」
ベレンは静かに泣きながら尋ねた。
「もちろんよ!」
「何バカなことを言ってるのよ!」
「ただ…」
ベレンは自分をおちつかせるように一旦止めた。
「ただ、私たちはこれからそれぞれの人生を歩んでいくから、別々の道に進むことになる。」
「そういう意味では、私たちこれからの付き合いもむかしとだいぶ変わってくると思う。」
「でも」
ベレンはルシアの手をしっかりにぎった。
「ずっと友達だよ。」
「これだけは、きっといつだって変わらないと思う。」
がまんしていた涙がついに頬からこぼれて落ちた。
ルシアはベレンをギュッと抱きしめた。
「うん!これからもずっとずっと友達だね!」
ルシアはそのまま去っていった。
一体どうしたのだろう。
席に残されたベレンは呆然としていた。
今夜を忘れられない夜にしたかったのに。
そのために、いろいろ準備しておいたのに。
二人の口論でおしまいとは、本当に予想外だった。
なんて皮肉なのだろう。
ベレンは苦笑を浮かべた。
ベレンもすっかり花火を見る気がなくなってしまった。
二人の言い争う声に驚いていた乗客たちの視線も気になり、ベレンはじっとしていられなくなった。
「私も下りよう。」
ベレンも席を立ち、船の1階に下りた。
一階に着くとすぐ、船の前側に立っているルシアを見つけた。
潮風に吹かれて前髪が少し乱れていたが、彼女はそれを整えようと手を伸ばすこともなく、ただ静かに花火とは反対方向を眺めていた。
ルシアは何を見ているのだろう?
ベレンは考えずにはいられなかった。
なんか寂しそうだ。
ベレンはため息をつき、ルシアに近寄らず、船の反対側を向いた。
花火は空に舞い上がり、咲くのが続いている。時折船の中から賞賛の声が聞こえる。
しかし、船の左右にいる少女たちは、この美しい夜に何かが永遠に終わったような気がしていた。
花火大会が終わった後。
帰り道、2人はずっと黙っていた。
ルシアはずっと先を歩いており、後ろからついているベレンも追いつこうとは思っていなかった。
沈黙は長く続いている。青春時代の友情はこれから一体どうなるのか、二人ともわからなかった。
それから2日間、二人は一言も話さなかった。
毎日、ルシアはベレンが起きる前に家を出て、夜寝るまで帰ってこなかった
ベレンは何度もルシアに話しかけようと思ったが、時間が経てば経つほど、話すことが難しくなっていった。
その日、ルシアは相変わらず朝早く出かけたが、夕方には帰ってきた。
帰ってきたとき、ベレンはちょうど夕食を食べていた。
「もう帰ってきたの?」
しまった!まだ喧嘩中なのに。
ベレンは慌てて口を塞いだ。
それを見て、ルシアは笑い出した。
「何を笑っているの?」
ルシアは笑いをこらえて手を振った。
「夕食が済んだら、ちょっと話そう。」
「わかった。」
とは言うものの、やはり心の中では不安だった。
何を話してくるだろう?
何事もなかったような顔をしているが、二日間も話していないし、何を話したらいいのかもわからない。
食事を続ける気もなくなった。急いで食べてさっさと夕食を終えた。
「ここにいたんだ。」
バルコニーのドアを押し開けると、手すりに寄りかかって夜空を見上げているルシアがいた。
「何を見ているの?」
「星。」
「東京でも星が見えるんだね。」
「当然でしょう。」
ルシアの話を聞いて、ベレンは笑いをこらえられなかった。
「それはどこでも同じじゃない?」
ルシアも笑った。
「東京って大都市じゃない?夜も明るいから、星が見えないと思った。」
「まぁ都心部だったらそうかもしれないね、でもここは違うじゃん?」
何事もなかったかのように、二人はただ一緒に星を眺め、笑ったり話したりしている。
「東京の星もきれいだね。」
「アルゼンチンで見た星とあまり変わらない。」
ルシアはベレンに顔を向けた。
「え?」
ベレンはその言葉の意味がわからなかった。
「この前はごめんなさい。」
「思い出に残る夜にするためにいろいろ用意してくれたのに、私のせいですべてが台無しになってしまった。」
ベレンは何か言おうとしたが、ルシアはそれを待たずに続けた。
「私たち、もう大人になったよね。」
「やっぱりどんどん離れていくんだね。」
「最初はただ違う大学に入っただけだけど、今はもう違う国に住んでいる。」
ルシアの話を聞きながら、ベレンはだんだんと頭を下げた。
「ねぇ、覚えている?」
ルシアが微笑んだ。
「大学に行く前、私たちが抱き合って泣きながら、毎日電話しようって約束したこと。」
「なんかもう、ずいぶん昔のことになったみたい。」
「それで今は…」
ルシアの目が少し熱くなってきた。
「もう戻れないだよね、私たち?」
その言葉を聞いて、ベレンも胸が苦しくなった。
楽しいことも、悲しいことも、過去にあったすべてが、時間が経つにつれて全部夢のように薄れてしまった。
誰も口をきかなくなかった。
もうしばらく経った。
「私たちって、これからどうなるかな…まだ友達でいられるかな…」
ベレンはすすり泣きながら尋ねた。
「もちろんよ!」
「何バカなことを言ってるのよ!」
「ただ…」
ベレンは感情を抑えようとするように一旦止めた。
「ただ、私たちはこれからそれぞれの人生を歩んでいくから、別々の道に進むことになる。」
「そういう意味では、私たちこれからの付き合いも昔とだいぶ変わってくると思う。」
「でも」
ベレンはルシアの手をしっかり握った。
「ずっと友達だよ。」
「これだけは、きっといつだって変わらないと思う。」
我慢していた涙が遂に頬を伝って落ちた。
ルシアはベレンをギュッと抱きしめた。
「うん!これからもずっとずっと友達だね!」
一体どうしたのだろう。
席に残されたベレンは呆然としていた。
今夜を忘れられない夜にしたかったのに。
そのために、いろいろ準備しておいたのに。
二人の口論でおしまいとは、本当に予想外だった。
なんて皮肉なのだろう。
ベレンは苦笑を浮かべた。
ベレンもすっかり花火を見る気がなくなってしまった。
二人の言い争う声に驚いていた乗客たちの視線も気になり、ベレンはじっとしていられなくなった。
「私も下りよう。」
ベレンも席を立ち、船の1階に下りた。
一階に着くとすぐ、船の前側に立っているルシアを見つけた。
潮風に吹かれて前髪が少し乱れていたが、彼女はそれを整えようと手を伸ばすこともなく、ただ静かに花火とは反対方向を眺めていた。
ルシアは何を見ているのだろう?
ベレンは考えずにはいられなかった。
なんか寂しそうだ。
ベレンはため息をつき、ルシアに近寄らず、船の反対側を向いた。
花火は空に舞い上がり、咲くのが続いている。時折船の中から賞賛の声が聞こえる。
しかし、船の左右にいる少女たちは、この美しい夜に何かが永遠に終わったような気がしていた。
花火大会が終わった後。
帰り道、2人はずっと黙っていた。
ルシアはずっと先を歩いており、後ろからついているベレンも追いつこうとは思っていなかった。
沈黙は長く続いている。青春時代の友情はこれから一体どうなるのか、二人ともわからなかった。
それから2日間、二人は一言も話さなかった。
毎日、ルシアはベレンが起きる前に家を出て、夜寝るまで帰ってこなかった
ベレンは何度もルシアに話しかけようと思ったが、時間が経てば経つほど、話すことが難しくなっていった。
その日、ルシアは相変わらず朝早く出かけたが、夕方には帰ってきた。
帰ってきたとき、ベレンはちょうど夕食を食べていた。
「もう帰ってきたの?」
しまった!まだ喧嘩中なのに。
ベレンは慌てて口を塞いだ。
それを見て、ルシアは笑い出した。
「何を笑っているの?」
ルシアは笑いをこらえて手を振った。
「夕食が済んだら、ちょっと話そう。」
「わかった。」
とは言うものの、やはり心の中では不安だった。
何を話してくるだろう?
何事もなかったような顔をしているが、二日間も話していないし、何を話したらいいのかもわからない。
食事を続ける気もなくなった。急いで食べてさっさと夕食を終えた。
「ここにいたんだ。」
バルコニーのドアを押し開けると、手すりに寄りかかって夜空を見上げているルシアがいた。
「何を見ているの?」
「星。」
「東京でも星が見えるんだね。」
「当然でしょう。」
ルシアの話を聞いて、ベレンは笑いをこらえられなかった。
「それはどこでも同じじゃない?」
ルシアも笑った。
「東京って大都市じゃない?夜も明るいから、星が見えないと思った。」
「まぁ都心部だったらそうかもしれないね、でもここは違うじゃん?」
何事もなかったかのように、二人はただ一緒に星を眺め、笑ったり話したりしている。
「東京の星もきれいだね。」
「アルゼンチンで見た星とあまり変わらない。」
ルシアはベレンに顔を向けた。
「え?」
ベレンはその言葉の意味がわからなかった。
「この前はごめんなさい。」
「思い出に残る夜にするためにいろいろ用意してくれたのに、私のせいですべてが台無しになってしまった。」
ベレンは何か言おうとしたが、ルシアはそれを待たずに続けた。
「私たち、もう大人になったよね。」
「やっぱりどんどん離れていくんだね。」
「最初はただ違う大学に入っただけだけど、今はもう違う国に住んでいる。」
ルシアの話を聞きながら、ベレンはだんだんと頭を下げた。
「ねぇ、覚えている?」
ルシアが微笑んだ。
「大学に行く前、私たちが抱き合って泣きながら、毎日電話しようって約束したこと。」
「なんかもう、ずいぶん昔のことになったみたい。」
「それで今は…」
ルシアの目が少し熱くなってきた。
「もう戻れないだよね、私たち?」
その言葉を聞いて、ベレンも胸が苦しくなった。
楽しいことも、悲しいことも、過去にあったすべてが、時間が経つにつれて全部夢のように薄れてしまった。
誰も口をきかなくなかった。
もうしばらく経った。
「私たちって、これからどうなるかな…まだ友達でいられるかな…」
ベレンはすすり泣きながら尋ねた。
「もちろんよ!」
「何バカなことを言ってるのよ!」
「ただ…」
ベレンは感情を抑えようとするように一旦止めた。
「ただ、私たちはこれからそれぞれの人生を歩んでいくから、別々の道に進むことになる。」
「そういう意味では、私たちこれからの付き合いも昔とだいぶ変わってくると思う。」
「でも」
ベレンはルシアの手をしっかり握った。
「ずっと友達だよ。」
「これだけは、きっといつだって変わらないと思う。」
我慢していた涙が遂に頬を伝って落ちた。
ルシアはベレンをギュッと抱きしめた。
「うん!これからもずっとずっと友達だね!」