Coming soon!
ベレンは書道展に行った後から、文字へのきょうみ関心が今までとはくらべられないほど強くなっていた。日本語のクラスの教室で昼ご飯を食べる前に、書道の作品を見ながら、漢字の勉強をしていた。これが思った以上に楽しかった。アンナにこの事を言ったら変な目で見られてしまった。
「ベレン。あなた変態(へんたい)よ。」
「どこが?」
「書道にそんなにむちゅうになっているのだもの。」
「思ったより楽しいのに。たとえば、この「雨」っていう漢字はそのまま空からすいてきが降る様子をかたちにしたものなの。それで、「身」は、大きなおはらを持つにんしんさんを横から見た様子なの。」
ベレンはノートに書きながら説明した。
「ふーん。たしかにこの「雨」っていう漢字はそう見えるかも。「身」は少しごういんな感じもするけどね。」
アンナはベレンの書いた文字を集中して見ていた。
「そうでしょ。」
「で、この漢字は……。」
気づけば20分くらい時間がたっていた。もうお昼ご飯を食べる時間がなくなってしまう。早く食べようとものすごい勢いでサンドイッチを口の中いっぱいにつめこんだ。すると、ドアが勢いよく開いたと思うと稲葉(いなば)先生が入ってきた。
「こんにちは。2人とも早いな。」
背中側の今日はシャツがズボンからはみ出していた。アンナは同じことを考えたのだろうか、笑いをこらえているようだ。
「先生こそ。この間、書道展に行きました。とっても良かったです。」
「へー。どこの?」
「えっと、東京の○○美術館のです。」
「○○美術館に行ったんですか。あの美術館はガラスでできていて、きれいですよね。私も行ったことがあります。何が一番良かったですか?」
「「夢」っていう作品です。」
「へえ。どんなところが?」
「のびのびとした所ですね。パソコンで見る文字とはまったく違ったので。作者の名前は韻流(いんりゅう) 大地(だいち)さん。」
アンナがスマホで作品をとった写真を見せた。そして、その名前を聞くと先生の目がまるくなった。
「作者は実はおれの友だちじゃないか。」
先生は目を下にむけて、上を見ていた。何かを思いだしているようだった。
「え?」
「その人が今回の東京のてんらんかいに入選したことは聞いていたよ。高校の時に、一緒に書道をしていた人だよ。」
「そうなんですね。すごい友人ですね。」
「そうだよな。」
「何かあったのですか?」
「それはひみつだよ。いろいろあってね。」
「じゃあ、今度先生が書道についてもっと教えてくれませんか?」
ベレンが急に会話にわって入った。
「え?」
「先生が書道をしているところを見てみたいです。」
「そんな。長いきかんふでなんて持ってないしなぁ。」
そういいながらも、まんざらでもない様子なのでベレンはくいさがった。
「お願いします。じっさいに人がふでを持っているところが見たいのです。」
「いいよ。じゃあ、次の授業の前か後の時間でもいい?」
少し表情は明るい。
「やったー。よろしくお願いします!あと、先生のシャツがズボンからはみ出ていますよ。」
「早くいってくれ!」
先生は恥ずかしそうに急いでシャツをズボンの中に入れていった。
ベレンは書道展に行った後から、文字に対しての興味関心が今までとは比べられないほど高まっていた。日本語のクラスの教室でお昼ご飯を食べる前に、書道の作品を見ながら、漢字の勉強をしていた。これが思いのほか楽しかった。アンナにこの事を言ったら変な目で見られてしまった。
「ベレン。あなた変態よ。」
「どこが?」
「書道にそんなにのめり込んでいるのだもの。」
「意外と楽しいのに。例えば、この「雨」っていう漢字はそのまま空から水滴が降るさまをかたどったものなの。それで、「身」は、大きなお腹を持つ妊婦さんを横から見た様子なの。」
ベレンはノートに書きながら説明した。
「ふーん。確かにこの雨っていう漢字はそう見えるかも。身は少し強引な感じもするけどね。」
アンナはベレンの書いた文字を集中して見ていた。
「そうでしょ。」
「で、この漢字は……。」
気づけば20分くらい時間がたっていた。もうお昼ご飯を食べる時間が無くなってしまう。早く食べようとものすごい勢いでサンドイッチを口の中いっぱいに詰め込んだ。すると、ドアが勢いよく開いたと思うと稲葉先生が入ってきた。
「こんにちは。2人とも早いな。」
背中側の今日はシャツがズボンからはみ出していた。アンナは同じことを考えたのだろうか、笑いをこらえているようだ。
「先生こそ。この間、書道展に行きました。とっても良かったです。」
「へー。どこの?」
「えっと、東京の○○美術館のです。」
「○○美術館に行ったんですか。あそこの美術館はガラス張りで綺麗ですよね。私も行ったことがあります。何が一番良かったですか?」
「夢っていう作品です。」
「へえ。どんなところが?」
「のびのびとした所ですね。パソコンで見る文字とは全く違ったので。作者の名前は韻流 大地さん。」
アンナがスマホで作品を撮った写真を見せた。そして、その名前を聞くと先生の目が丸くなった。
「作者は実は俺の友達じゃないか。」
先生は目を下におろし、上を向いていた。何かを思いだしているようだった。
「え?」
「その人が今回の東京の展覧会に入選したことは聞いていたよ。高校の時に、一緒に書道をしていた人だよ。」
「そうなんですね。すごい友人ですね。」
「そうだよな。」
「何かあったのですか?」
「それは秘密だよ。いろいろあってね。」
「じゃあ、今度先生が書道についてもっと教えてくれませんか?」
ベレンが急に会話に割って入った。
「え?」
「先生が書道をしているところを見てみたいです。」
「そんな。長い期間筆なんて持ってないしなぁ。」
そういいながらも、まんざらでもない様子なのでベレンは食い下がった。
「お願いします。実際に人が筆を持っているところが見たいのです。」
「いいよ。じゃあ、次の授業の前か後の時間でもいい?」
少し表情は明るい。
「やったー。よろしくお願いします!あと、先生のシャツがズボンからはみ出ていますよ。」
「早くいってくれ!」
先生は恥ずかしそうに急いでシャツをズボンの中に入れていった。