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アーティスティック・コラボレーション
コラボレーションから美術を考える
Coming soon!
2人は庭園(ていえん)を1周(しゅう)して、心にのこった場所について話しました。
「滝(たき)は水もきれいだったし、音も心にのこってる。」
とユキが言いました。エミリーも
「うん、そうだね。あそこで彫刻(ちょうこく)とのコラボ、できそう?」
「うーん・・・。」
「私は噴水(ふんすい)も心にのこってる。自然の力で1本水がふき出していて、シンプルだけど、だから、いいと思って。」
「そうだね。いい写真がとれそうだよね。」
「あそこだったら、何か合う彫刻、できそう?」
「うん。できるかもしれない。彫刻って言っても、ほらなくてもいいんだから、考えてみる。」
2人はもう一度噴水を見に行きました。水がふき出している所は石でかこまれていて、そのまわりは小さい池になっています。ユキは言いました。
「この池の中に入ってもいいのかなあ? それがわからないと、アイデアがまとまらないよね。」
「じゃ、庭園の人に聞いてみよう。」
とエミリーは言って、2人は庭園の事務所(じむしょ)に行きました。庭園の人は入ることはできないと言いました。とつぜんユキの頭にはあるアイデアがうかびました。
「じゃあ、上にドローンをとばすのはどうですか。ドローンに軽いものをつるして、長い時間ではありませんが、噴水の上にドローンを止めて、写真をとりたいんです。」
庭園の人は言いました。
「噴水の上だけですか。朝、人がいない時だったらいいですよ。申請書(しんせいしょ)を書いてください。」
「わかりました。」
ユキはうれしそうに言いました。
「エミリー、噴水の上に彫刻をつるして写真をとってみたいんだけど、どう?」
「いいけど、ドローンはどうするの?」
「彫刻学科の田中くんがドローンを使えるから、お願いしてみる。」
「で、どんな彫刻をつるすの? 重いのはだめでしょう?」
「うん。水の一番上の所にういているような感じのもの。何がいいかなあ。」
「水が1本の線(せん)だから、何かのかたまりがいいかもしれない。」
「そうだね。ちょっともう一度見に行かない?」
2人はもう一度噴水を見に行きました。エミリーはいろいろな所から写真をとりました。ユキはまわりの景色をよく見て考えています。ユキが話し始めました。
「噴水のまわりに木がたくさんあるよね。この木のイメージを噴水の上に持ってきたらどうかなあ?」
「うん、そうだね・・・。噴水の水が落ちる時、けっこう水しぶきが上がってるよね。光が当たると、キラキラしてる。それも考えるといいと思う。」
「そうだね。ありがとう。じゃ、イメージのデッサンをいくつかかいて、れんらくするね。」
「私も明日の朝もう一度来て、光の感じを見てみるね。」
つぎの日、ユキはエミリーにデッサンを見せました。1つ目は、木の小さい立方体(りっぽうたい)を集めてボールのようにしたものです。2つ目は、細い針金(はりがね)で小さい正方形(せいほうけい)を作ってそれをフワッと集めたものです。ユキはエミリーに聞きました。
「2つしか思いうかばなかったんだけど、どうかなあ?」
「へえ、どっちもおもしろいんじゃない? 私も朝の光を見て来たんだけど、天気がよければ、けっこう光が入るんだ。朝の写真もとってきたから、ちょっと見て。この水の上だったら、どっちがいいかなあ。」
「水しぶきが光ってるよね。この自然な感じを生かすのは、木かなあ?」
「でも、針金は光るから、かえって水しぶきの光る感じに合うかもしれない。」
「また自然(しぜん)と人工(じんこう)のたたかいだね。ヘヘッ。」
「そうだね。どうする?」
「じゃ、そんなに時間はかからないと思うから、どっちも作ってみるね。それでどっちがいいか、見てみない?」
「さすが器用(きよう)なユキ!」
「2日ぐらい待ってもらえる? それから、ドローンの田中くんは、いつでも呼んでって言ってたから、だいじょうぶだと思う。」
「ありがとう。私も写真のとり方を研究しておくね。」
3日後の朝、ユキは2つの作品を持って、兼六園の噴水の前に行きました。エミリーと田中くんが待っていました。ユキが作品を見せると、エミリーも田中くんも
「すごいね。いい感じじゃない!」
と言いました。さっそくドローンにそれぞれの作品を糸でつるして、噴水の上にとばして止めました。すぐにエミリーが写真をとりました。いろいろな所から光や景色を考えてとりました。シャッタースピードも変えてとりました。
とり終わると、3人で写真を見ました。
「木の作品もいいんだけど、後ろにある木がきれいだから、負けてる気もする。」
と田中くんが言いました。
「そうだね。針金の作品は、キラキラ光ってるね。水しぶきが光るのにつながってるね。」
とユキが言いました。
「それに、針金の間から後ろも見えて、景色をいかしてる。ふしぎな感じもするし。」
とエミリーが言いました。ユキも言いました。
「人工のものでも、自然をうまく使えるんだね。針金の作品がいいんじゃない?」
「じゃあ、針金の写真の中でどれがいいと思う?」
とエミリーが聞きました。
「この写真、水しぶきのつぶが大きくうつってる。きれいだね。」
とユキと田中くんが言いました。エミリーも言いました。
「これ、シャッタースピードをおそくしてみたの。光も当たってるし、きれいだよね。」
ユキはエミリーたちに聞きました。
「じゃ、これが一番いいね。これ、どうしようか?」
エミリーは
「おおいわ先生に見せてみる? それから、庭園の人にも。」
と言いました。ユキも田中くんもさんさんせいしました。
それから、ユキとエミリーはその写真をおおいわ先生に見せました。先生は
「これはセミナーで勉強したことがよくいかされていますね。兼六園の自然のすばらしさを人工的な作品で上手に伝えています。すばらしい作品です。」
と言って、ほめてくれました。そして、大学のホームページに写真をのせてくれました。 庭園の人は、日本的ではない作品を見てびっくりしていました。けれども、新しい庭園の見方だと言って、ホームページに写真をのせてくれました。
その後、ホームページで写真を見た人たちから、すてきな作品だ、日本的なものと西洋風(せいようふう)なアートがよく合っている、という意見がたくさんとどきました。ユキとエミリーは本当にうれしかったです。ユキは言いました。
「日本的なものと西洋風なアート、って、私たちがあらわれてるんだよね。日本人と西洋人っていう。」
「そうだよね。でも、西洋風な作品を考えたのはユキでしょう?」
「うん。いつも自然にあるものをそのままきれいにあらわしたいと思ってた。それも日本的な感じで。だから、こんな作品を作るなんて、自分でも信じられないんだ。きっと、エミリーと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
「そう? 私も日本的な感覚(かんかく)には自然を生かす考え方があると思う。写真をとる時もそんな感覚を大切にしたいと思った。そして、写真のとり方の大切さもわかった気がする。ユキと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
そして、ユキは言いました。
「前エミリーが言ってたけど、兼六園(けんろくえん)は、私には日本的で自然に見えるけど、エミリーには人工的に見えるんだよね。そもそも自然なままじゃ庭園もつくれないし、庭園の中を自然に見せるためには、人工的につくったり手入れをしなきゃいけないしね。」
エミリーもつづけて言いました。
「オーストラリアのオペラハウスも時間が変わると見え方も変わる。光という自然をよく見ているわけだよね。」
「うん。あたりまえだけど、日本にも西洋にも、自然を感じる感覚があるし、人工的に何かをつくり出す感覚もあるってことだよね。」
「そうだね。もちろん日本の感覚と西洋の感覚はちがうから、それをおたがいに感じて学び合いたいね。」
「これからもいろいろチャレンジして、ちがう感覚を作品にいかしていきたいね。」
「そうだね。よろしくね。」
2人はこれからもコラボレーションにチャレンジすることをやくそくしました。
「滝(たき)は水もきれいだったし、音も心にのこってる。」
とユキが言いました。エミリーも
「うん、そうだね。あそこで彫刻(ちょうこく)とのコラボ、できそう?」
「うーん・・・。」
「私は噴水(ふんすい)も心にのこってる。自然の力で1本水がふき出していて、シンプルだけど、だから、いいと思って。」
「そうだね。いい写真がとれそうだよね。」
「あそこだったら、何か合う彫刻、できそう?」
「うん。できるかもしれない。彫刻って言っても、ほらなくてもいいんだから、考えてみる。」
2人はもう一度噴水を見に行きました。水がふき出している所は石でかこまれていて、そのまわりは小さい池になっています。ユキは言いました。
「この池の中に入ってもいいのかなあ? それがわからないと、アイデアがまとまらないよね。」
「じゃ、庭園の人に聞いてみよう。」
とエミリーは言って、2人は庭園の事務所(じむしょ)に行きました。庭園の人は入ることはできないと言いました。とつぜんユキの頭にはあるアイデアがうかびました。
「じゃあ、上にドローンをとばすのはどうですか。ドローンに軽いものをつるして、長い時間ではありませんが、噴水の上にドローンを止めて、写真をとりたいんです。」
庭園の人は言いました。
「噴水の上だけですか。朝、人がいない時だったらいいですよ。申請書(しんせいしょ)を書いてください。」
「わかりました。」
ユキはうれしそうに言いました。
「エミリー、噴水の上に彫刻をつるして写真をとってみたいんだけど、どう?」
「いいけど、ドローンはどうするの?」
「彫刻学科の田中くんがドローンを使えるから、お願いしてみる。」
「で、どんな彫刻をつるすの? 重いのはだめでしょう?」
「うん。水の一番上の所にういているような感じのもの。何がいいかなあ。」
「水が1本の線(せん)だから、何かのかたまりがいいかもしれない。」
「そうだね。ちょっともう一度見に行かない?」
2人はもう一度噴水を見に行きました。エミリーはいろいろな所から写真をとりました。ユキはまわりの景色をよく見て考えています。ユキが話し始めました。
「噴水のまわりに木がたくさんあるよね。この木のイメージを噴水の上に持ってきたらどうかなあ?」
「うん、そうだね・・・。噴水の水が落ちる時、けっこう水しぶきが上がってるよね。光が当たると、キラキラしてる。それも考えるといいと思う。」
「そうだね。ありがとう。じゃ、イメージのデッサンをいくつかかいて、れんらくするね。」
「私も明日の朝もう一度来て、光の感じを見てみるね。」
つぎの日、ユキはエミリーにデッサンを見せました。1つ目は、木の小さい立方体(りっぽうたい)を集めてボールのようにしたものです。2つ目は、細い針金(はりがね)で小さい正方形(せいほうけい)を作ってそれをフワッと集めたものです。ユキはエミリーに聞きました。
「2つしか思いうかばなかったんだけど、どうかなあ?」
「へえ、どっちもおもしろいんじゃない? 私も朝の光を見て来たんだけど、天気がよければ、けっこう光が入るんだ。朝の写真もとってきたから、ちょっと見て。この水の上だったら、どっちがいいかなあ。」
「水しぶきが光ってるよね。この自然な感じを生かすのは、木かなあ?」
「でも、針金は光るから、かえって水しぶきの光る感じに合うかもしれない。」
「また自然(しぜん)と人工(じんこう)のたたかいだね。ヘヘッ。」
「そうだね。どうする?」
「じゃ、そんなに時間はかからないと思うから、どっちも作ってみるね。それでどっちがいいか、見てみない?」
「さすが器用(きよう)なユキ!」
「2日ぐらい待ってもらえる? それから、ドローンの田中くんは、いつでも呼んでって言ってたから、だいじょうぶだと思う。」
「ありがとう。私も写真のとり方を研究しておくね。」
3日後の朝、ユキは2つの作品を持って、兼六園の噴水の前に行きました。エミリーと田中くんが待っていました。ユキが作品を見せると、エミリーも田中くんも
「すごいね。いい感じじゃない!」
と言いました。さっそくドローンにそれぞれの作品を糸でつるして、噴水の上にとばして止めました。すぐにエミリーが写真をとりました。いろいろな所から光や景色を考えてとりました。シャッタースピードも変えてとりました。
とり終わると、3人で写真を見ました。
「木の作品もいいんだけど、後ろにある木がきれいだから、負けてる気もする。」
と田中くんが言いました。
「そうだね。針金の作品は、キラキラ光ってるね。水しぶきが光るのにつながってるね。」
とユキが言いました。
「それに、針金の間から後ろも見えて、景色をいかしてる。ふしぎな感じもするし。」
とエミリーが言いました。ユキも言いました。
「人工のものでも、自然をうまく使えるんだね。針金の作品がいいんじゃない?」
「じゃあ、針金の写真の中でどれがいいと思う?」
とエミリーが聞きました。
「この写真、水しぶきのつぶが大きくうつってる。きれいだね。」
とユキと田中くんが言いました。エミリーも言いました。
「これ、シャッタースピードをおそくしてみたの。光も当たってるし、きれいだよね。」
ユキはエミリーたちに聞きました。
「じゃ、これが一番いいね。これ、どうしようか?」
エミリーは
「おおいわ先生に見せてみる? それから、庭園の人にも。」
と言いました。ユキも田中くんもさんさんせいしました。
それから、ユキとエミリーはその写真をおおいわ先生に見せました。先生は
「これはセミナーで勉強したことがよくいかされていますね。兼六園の自然のすばらしさを人工的な作品で上手に伝えています。すばらしい作品です。」
と言って、ほめてくれました。そして、大学のホームページに写真をのせてくれました。 庭園の人は、日本的ではない作品を見てびっくりしていました。けれども、新しい庭園の見方だと言って、ホームページに写真をのせてくれました。
その後、ホームページで写真を見た人たちから、すてきな作品だ、日本的なものと西洋風(せいようふう)なアートがよく合っている、という意見がたくさんとどきました。ユキとエミリーは本当にうれしかったです。ユキは言いました。
「日本的なものと西洋風なアート、って、私たちがあらわれてるんだよね。日本人と西洋人っていう。」
「そうだよね。でも、西洋風な作品を考えたのはユキでしょう?」
「うん。いつも自然にあるものをそのままきれいにあらわしたいと思ってた。それも日本的な感じで。だから、こんな作品を作るなんて、自分でも信じられないんだ。きっと、エミリーと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
「そう? 私も日本的な感覚(かんかく)には自然を生かす考え方があると思う。写真をとる時もそんな感覚を大切にしたいと思った。そして、写真のとり方の大切さもわかった気がする。ユキと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
そして、ユキは言いました。
「前エミリーが言ってたけど、兼六園(けんろくえん)は、私には日本的で自然に見えるけど、エミリーには人工的に見えるんだよね。そもそも自然なままじゃ庭園もつくれないし、庭園の中を自然に見せるためには、人工的につくったり手入れをしなきゃいけないしね。」
エミリーもつづけて言いました。
「オーストラリアのオペラハウスも時間が変わると見え方も変わる。光という自然をよく見ているわけだよね。」
「うん。あたりまえだけど、日本にも西洋にも、自然を感じる感覚があるし、人工的に何かをつくり出す感覚もあるってことだよね。」
「そうだね。もちろん日本の感覚と西洋の感覚はちがうから、それをおたがいに感じて学び合いたいね。」
「これからもいろいろチャレンジして、ちがう感覚を作品にいかしていきたいね。」
「そうだね。よろしくね。」
2人はこれからもコラボレーションにチャレンジすることをやくそくしました。
2人は庭園を1周(しゅう)して、心にのこった場所について話しました。
「滝(たき)は水もきれいだったし、音も心にのこってる。」
とユキが言いました。エミリーも
「うん、そうだね。あそこで彫刻とのコラボ、できそう?」
「うーん・・・。」
「私は噴水(ふんすい)も心にのこってる。自然の力で1本水がふき出していて、シンプルだけど、だから、いいと思って。」
「そうだね。いい写真がとれそうだよね。」
「あそこだったら、何か合う彫刻、できそう?」
「うん。できるかもしれない。彫刻って言っても、ほらなくてもいいんだから、考えてみる。」
2人はもう一度噴水を見に行きました。水がふき出している所は石でかこまれていて、そのまわりは小さい池になっています。ユキは言いました。
「この池の中に入ってもいいのかなあ? それがわからないと、アイデアがまとまらないよね。」
「じゃ、庭園の人に聞いてみよう。」
とエミリーは言って、2人は庭園の事務所に行きました。庭園の人は入ることはできないと言いました。とつぜんユキの頭にはあるアイデアがうかびました。
「じゃあ、上にドローンをとばすのはどうですか。ドローンに軽いものをつるして、長い時間ではありませんが、噴水の上にドローンを止めて、写真をとりたいんです。」
庭園の人は言いました。
「噴水の上だけですか。朝、人がいない時だったらいいですよ。申請書(しんせいしょ)を書いてください。」
「わかりました。」
ユキはうれしそうに言いました。
「エミリー、噴水の上に彫刻をつるして写真をとってみたいんだけど、どう?」
「いいけど、ドローンはどうするの?」
「彫刻学科の田中くんがドローンを使えるから、お願いしてみる。」
「で、どんな彫刻をつるすの? 重いのはだめでしょう?」
「うん。水の一番上の所にういているような感じのもの。何がいいかなあ。」
「水が1本の線(せん)だから、何かのかたまりがいいかもしれない。」
「そうだね。ちょっともう一度見に行かない?」
2人はもう一度噴水を見に行きました。エミリーはいろいろな所から写真をとりました。ユキはまわりの景色をよく見て考えています。ユキが話し始めました。
「噴水のまわりに木がたくさんあるよね。この木のイメージを噴水の上に持ってきたらどうかなあ?」
「うん、そうだね・・・。噴水の水が落ちる時、けっこう水しぶきが上がってるよね。光が当たると、キラキラしてる。それも考えるといいと思う。」
「そうだね。ありがとう。じゃ、イメージのデッサンをいくつかかいて、連絡するね。」
「私も明日の朝もう一度来て、光の感じを見てみるね。」
つぎの日、ユキはエミリーにデッサンを見せました。1つ目は、木の小さい立方体(りっぽうたい)を集めてボールのようにしたものです。2つ目は、細い針金(はりがね)で小さい正方形を作ってそれをフワッと集めたものです。ユキはエミリーに聞きました。
「2つしか思いうかばなかったんだけど、どうかなあ?」
「へえ、どっちもおもしろいんじゃない? 私も朝の光を見て来たんだけど、天気がよければ、けっこう光が入るんだ。朝の写真もとってきたから、ちょっと見て。この水の上だったら、どっちがいいかなあ。」
「水しぶきが光ってるよね。この自然な感じを生かすのは、木かなあ?」
「でも、針金は光るから、かえって水しぶきの光る感じに合うかもしれない。」
「また自然と人工(じんこう)のたたかいだね。ヘヘッ。」
「そうだね。どうする?」
「じゃ、そんなに時間はかからないと思うから、どっちも作ってみるね。それでどっちがいいか、見てみない?」
「さすが器用(きよう)なユキ!」
「2日ぐらい待ってもらえる? それから、ドローンの田中くんは、いつでも呼んでって言ってたから、だいじょうぶだと思う。」
「ありがとう。私も写真のとり方を研究しておくね。」
3日後の朝、ユキは2つの作品を持って、兼六園の噴水の前に行きました。エミリーと田中くんが待っていました。ユキが作品を見せると、エミリーも田中くんも
「すごいね。いい感じじゃない!」
と言いました。さっそくドローンにそれぞれの作品をとうめいな糸でつるして、噴水の上にとばして止めました。すぐにエミリーが写真をとりました。いろいろな所から光や景色を考えてとりました。シャッタースピードも変えてとりました。
とり終わると、3人で写真を見ました。
「木の作品もいいんだけど、後ろにある木がきれいだから、負けてる気もする。」
と田中くんが言いました。
「そうだね。針金の作品は、キラキラ光ってるね。水しぶきが光るのにつながってるね。」
とユキが言いました。
「それに、針金の間から後ろも見えて、景色を生かしてる。ふしぎな感じもするし。」
とエミリーが言いました。ユキも言いました。
「人工的な作品でも自然を生かせるんだね。針金の作品がいいんじゃない?」
「じゃあ、針金の写真の中でどれがいいと思う?」
とエミリーが聞きました。
「この写真、水しぶきのつぶが大きくうつってる。きれいだね。」
とユキと田中くんが言いました。エミリーも言いました。
「これ、シャッタースピードをおそくしてみたの。光も当たってるし、きれいだよね。」
ユキはエミリーたちに聞きました。
「じゃ、これが一番いいね。これ、どうしようか?」
エミリーは
「大岩先生に見せてみる? それから、庭園の人にも。」
と言いました。ユキも田中くんもさんせいしました。
それから、ユキとエミリーはその写真を大岩先生に見せました。先生は
「これはセミナーで勉強したことがよく生かされていますね。兼六園の自然のすばらしさを人工的な作品で上手に伝えています。すばらしい作品です。」
と言って、ほめてくれました。そして、大学のホームページに写真をのせてくれました。 庭園の人は、日本的ではない作品を見てびっくりしていました。けれども、新しい庭園の見方だと言って、ホームページに写真をのせてくれました。
その後、ホームページで写真を見た人たちから、すてきな作品だ、日本的なものと西洋風(せいようふう)なアートがよく合っている、という意見がたくさんとどきました。ユキとエミリーは本当にうれしかったです。ユキは言いました。
「日本的なものと西洋風なアート、って、私たちがあらわれてるんだよね。日本人と西洋人っていう。」
「そうだよね。でも、西洋風な作品を考えたのはユキでしょう?」
「うん。いつも自然にあるものをそのままきれいにあらわしたいと思ってた。それも日本的な感じで。だから、こんな作品を作るなんて、自分でも信じられないんだ。きっと、エミリーと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
「そう? 私も日本的な感覚(かんかく)には自然を生かす考え方があると思う。写真をとる時もそんな感覚を大切にしたいと思った。そして、写真のとり方の大切さもわかった気がする。ユキと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
そして、ユキは言いました。
「前エミリーが言ってたけど、兼六園(けんろくえん)は、私には日本的で自然に見えるけど、エミリーには人工的に見えるんだよね。そもそも自然なままじゃ庭園もつくれないし、庭園の中を自然に見せるためには、人工的につくったり手入れをしなきゃいけないしね。」
エミリーもつづけて言いました。
「オーストラリアのオペラハウスも時間が変わると見え方も変わる。光という自然をよく見ているわけだよね。」
「うん。当たり前だけど、日本にも西洋にも、自然を感じる感覚があるし、人工的に何かをつくり出す感覚もあるってことだよね。」
「そうだね。もちろん日本の感覚と西洋の感覚はちがうから、それをおたがいに感じて学び合いたいね。」
「これからもいろいろチャレンジして、ちがう感覚を作品に生かしていきたいね。」
「そうだね。よろしくね。」
2人はこれからもコラボレーションにチャレンジすることをやくそくしました。
「滝(たき)は水もきれいだったし、音も心にのこってる。」
とユキが言いました。エミリーも
「うん、そうだね。あそこで彫刻とのコラボ、できそう?」
「うーん・・・。」
「私は噴水(ふんすい)も心にのこってる。自然の力で1本水がふき出していて、シンプルだけど、だから、いいと思って。」
「そうだね。いい写真がとれそうだよね。」
「あそこだったら、何か合う彫刻、できそう?」
「うん。できるかもしれない。彫刻って言っても、ほらなくてもいいんだから、考えてみる。」
2人はもう一度噴水を見に行きました。水がふき出している所は石でかこまれていて、そのまわりは小さい池になっています。ユキは言いました。
「この池の中に入ってもいいのかなあ? それがわからないと、アイデアがまとまらないよね。」
「じゃ、庭園の人に聞いてみよう。」
とエミリーは言って、2人は庭園の事務所に行きました。庭園の人は入ることはできないと言いました。とつぜんユキの頭にはあるアイデアがうかびました。
「じゃあ、上にドローンをとばすのはどうですか。ドローンに軽いものをつるして、長い時間ではありませんが、噴水の上にドローンを止めて、写真をとりたいんです。」
庭園の人は言いました。
「噴水の上だけですか。朝、人がいない時だったらいいですよ。申請書(しんせいしょ)を書いてください。」
「わかりました。」
ユキはうれしそうに言いました。
「エミリー、噴水の上に彫刻をつるして写真をとってみたいんだけど、どう?」
「いいけど、ドローンはどうするの?」
「彫刻学科の田中くんがドローンを使えるから、お願いしてみる。」
「で、どんな彫刻をつるすの? 重いのはだめでしょう?」
「うん。水の一番上の所にういているような感じのもの。何がいいかなあ。」
「水が1本の線(せん)だから、何かのかたまりがいいかもしれない。」
「そうだね。ちょっともう一度見に行かない?」
2人はもう一度噴水を見に行きました。エミリーはいろいろな所から写真をとりました。ユキはまわりの景色をよく見て考えています。ユキが話し始めました。
「噴水のまわりに木がたくさんあるよね。この木のイメージを噴水の上に持ってきたらどうかなあ?」
「うん、そうだね・・・。噴水の水が落ちる時、けっこう水しぶきが上がってるよね。光が当たると、キラキラしてる。それも考えるといいと思う。」
「そうだね。ありがとう。じゃ、イメージのデッサンをいくつかかいて、連絡するね。」
「私も明日の朝もう一度来て、光の感じを見てみるね。」
つぎの日、ユキはエミリーにデッサンを見せました。1つ目は、木の小さい立方体(りっぽうたい)を集めてボールのようにしたものです。2つ目は、細い針金(はりがね)で小さい正方形を作ってそれをフワッと集めたものです。ユキはエミリーに聞きました。
「2つしか思いうかばなかったんだけど、どうかなあ?」
「へえ、どっちもおもしろいんじゃない? 私も朝の光を見て来たんだけど、天気がよければ、けっこう光が入るんだ。朝の写真もとってきたから、ちょっと見て。この水の上だったら、どっちがいいかなあ。」
「水しぶきが光ってるよね。この自然な感じを生かすのは、木かなあ?」
「でも、針金は光るから、かえって水しぶきの光る感じに合うかもしれない。」
「また自然と人工(じんこう)のたたかいだね。ヘヘッ。」
「そうだね。どうする?」
「じゃ、そんなに時間はかからないと思うから、どっちも作ってみるね。それでどっちがいいか、見てみない?」
「さすが器用(きよう)なユキ!」
「2日ぐらい待ってもらえる? それから、ドローンの田中くんは、いつでも呼んでって言ってたから、だいじょうぶだと思う。」
「ありがとう。私も写真のとり方を研究しておくね。」
3日後の朝、ユキは2つの作品を持って、兼六園の噴水の前に行きました。エミリーと田中くんが待っていました。ユキが作品を見せると、エミリーも田中くんも
「すごいね。いい感じじゃない!」
と言いました。さっそくドローンにそれぞれの作品をとうめいな糸でつるして、噴水の上にとばして止めました。すぐにエミリーが写真をとりました。いろいろな所から光や景色を考えてとりました。シャッタースピードも変えてとりました。
とり終わると、3人で写真を見ました。
「木の作品もいいんだけど、後ろにある木がきれいだから、負けてる気もする。」
と田中くんが言いました。
「そうだね。針金の作品は、キラキラ光ってるね。水しぶきが光るのにつながってるね。」
とユキが言いました。
「それに、針金の間から後ろも見えて、景色を生かしてる。ふしぎな感じもするし。」
とエミリーが言いました。ユキも言いました。
「人工的な作品でも自然を生かせるんだね。針金の作品がいいんじゃない?」
「じゃあ、針金の写真の中でどれがいいと思う?」
とエミリーが聞きました。
「この写真、水しぶきのつぶが大きくうつってる。きれいだね。」
とユキと田中くんが言いました。エミリーも言いました。
「これ、シャッタースピードをおそくしてみたの。光も当たってるし、きれいだよね。」
ユキはエミリーたちに聞きました。
「じゃ、これが一番いいね。これ、どうしようか?」
エミリーは
「大岩先生に見せてみる? それから、庭園の人にも。」
と言いました。ユキも田中くんもさんせいしました。
それから、ユキとエミリーはその写真を大岩先生に見せました。先生は
「これはセミナーで勉強したことがよく生かされていますね。兼六園の自然のすばらしさを人工的な作品で上手に伝えています。すばらしい作品です。」
と言って、ほめてくれました。そして、大学のホームページに写真をのせてくれました。 庭園の人は、日本的ではない作品を見てびっくりしていました。けれども、新しい庭園の見方だと言って、ホームページに写真をのせてくれました。
その後、ホームページで写真を見た人たちから、すてきな作品だ、日本的なものと西洋風(せいようふう)なアートがよく合っている、という意見がたくさんとどきました。ユキとエミリーは本当にうれしかったです。ユキは言いました。
「日本的なものと西洋風なアート、って、私たちがあらわれてるんだよね。日本人と西洋人っていう。」
「そうだよね。でも、西洋風な作品を考えたのはユキでしょう?」
「うん。いつも自然にあるものをそのままきれいにあらわしたいと思ってた。それも日本的な感じで。だから、こんな作品を作るなんて、自分でも信じられないんだ。きっと、エミリーと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
「そう? 私も日本的な感覚(かんかく)には自然を生かす考え方があると思う。写真をとる時もそんな感覚を大切にしたいと思った。そして、写真のとり方の大切さもわかった気がする。ユキと先生たちのおかげだね。ヘヘッ。」
そして、ユキは言いました。
「前エミリーが言ってたけど、兼六園(けんろくえん)は、私には日本的で自然に見えるけど、エミリーには人工的に見えるんだよね。そもそも自然なままじゃ庭園もつくれないし、庭園の中を自然に見せるためには、人工的につくったり手入れをしなきゃいけないしね。」
エミリーもつづけて言いました。
「オーストラリアのオペラハウスも時間が変わると見え方も変わる。光という自然をよく見ているわけだよね。」
「うん。当たり前だけど、日本にも西洋にも、自然を感じる感覚があるし、人工的に何かをつくり出す感覚もあるってことだよね。」
「そうだね。もちろん日本の感覚と西洋の感覚はちがうから、それをおたがいに感じて学び合いたいね。」
「これからもいろいろチャレンジして、ちがう感覚を作品に生かしていきたいね。」
「そうだね。よろしくね。」
2人はこれからもコラボレーションにチャレンジすることをやくそくしました。