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日本人の家族と知り合う
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Coming soon!
シュテファンはドイツ人です。生まれてから学校の13年生(日本では高校生)の時までドイツにいました。子どもの時、日本のアニメを見て、日本が好きになりました。そして、日本語が上手になりたい、日本の文化をもっと知りたい、いつか日本に行って勉強したい、と思うようになりました。それで、学校の12年生(日本では高校2年生)になった時、日本語の勉強を始めました。
ある日、シュテファンが近くのこうえんをさんぽしていると、かみが黒い人たちが見えました。大人が2人と子どもが2人です。シュテファンは、日本人だろうと思ってこえをかけました。
「あの、すみません。日本の方ですか」
「ええ、そうです」
「私はシュテファンともうします。この近くに住んでいます」
「あら、そうですか。私たちは、さいきん、ひっこしてきたんです。主人がドイツの会社ではたらくことになって。こちらは主人です。それから、こちらはむすことむすめです」
と、おくさんが言いました。ご主人も言いました。
「はじめまして。山口ともうします。どうぞよろしくおねがいします。」
シュテファンはうれしくなりました。
(はじめて日本人と話した! 意味もわかった!)
ご主人はつづけました。
「シュテファンさんは学生さんですか」
「はい、そうです。高校生です」
「高校で日本語を勉強しているんですか」
「いいえ、ちかくに日本語を勉強する教室があって、その教室で勉強しています」
「へえ、そうですか。日本人の先生がいるんですか」
「いいえ、日本に留学していたドイツ人の先生がいます。そこで 文法を勉強したり、話したりしています」
「そうですか。それはいいですね。」
こうして、シュテファンは山口さんの家族なかよくなりました。
ある日、山口さんのいえにしょうたいされました。むすこさんのたんじょう日をいっしょにおいわいしてほしいと言われたのです。むすこさんは5さいになるそうです。
日本人の家に行くのははじめてだったので、どんなきまりがあるか、わかりませんでした。おいわいのプレゼントは何がいいか、食べ物を持って行くのがいいか、いろいろ考えたり、しらべたりしましたが、山口さんのおくさんに聞くのがいいと思って、聞いてみることにしました。
「すみません。おいわいのプレゼントは何がいいですか。よくわからないので、おしえてください」
「いえ、何もお持ちにならないでいいです」
シュテファンはしんぱいになりました。
(ぼくからもらいたくないのかな……)
「じゃあ、何か食べるものを持っていきたいんですが……」
「いいえ、だいじょうぶです。しんぱいなさらないでください。」
シュテファンはもっと心配になりました。
(どうしたらいいの……)
シュテファンは家に帰って、よく考えました。
(そうだ、日本人は、「ほしい」とはあまり言わないって、日本語の先生が言ってたのを思い出した。何て言うんだっけ。うーん、あっ、「えんりょ」だ!)
この時、シュテファンは、ちがう国の人とコミュニケーションをとる時、その国の文化を知ることが大切だと、気づきました。そして、しんぱいがなくなりました。
(じゃあ、かんたんなプレゼントとドイツのお菓子を持っていこう。)
山口さんのむすこさんのたんじょう日に、シュテファンはドイツの木のおもちゃとくだものが入ったケーキを持っていきました。
ピンポーン。
「こんにちは。おじゃまします」
「よくいらっしゃいました」
おくさんとむすこさんが げんかん(いえの入り口)に来ました。
「こちらがむすこのおさむです。はじめまして、って言って」
「はじめまして」
「これ、どうぞ」
「ありがとう!」
シュテファンはむすこさんにおもちゃをあげました。そして、おくさんにケーキをわたしました。
「これ、つまらないものですが……」
これは 日本語の先生から教えてもらったあいさつです。
「まあ、ありがとうございます」
おくさんは うれしそうに言いました。
「さあ、どうぞ。お入りください」
リビングルームに入ると、テーブルの上にたくさんの料理がありました。まきずし、やさいサラダ、とりのからあげ、たまごやき、きのこごはん、みそしる、ソーセージ、フランスパンなどです。
「すごい! いろいろな料理がありますね。日本料理だけじゃないんですね。あっ、ドイツのソーセージも!」
「ええ、日本でも日本料理だけ食べるわけじゃないんです。今はいろいろな国の食べ物があるので、いろいろな国の料理を作るんですよ」
「どうぞ、えんりょなくめしあがってください」
ご主人も出てきました。そして、むすめさんが走ってきて、お父さんのうしろで
「はじめまして。ようこです。こんにちは」
と、はずかしそうに言いました。
「いただきます!」
山口さんの家族とシュテファンは、テーブルの前に座って料理を食べはじめました。となりにすわったご主人がシュテファンに話しかけました。
「どうして日本語を勉強しようと思ったんですか」
「日本のアニメを見て、日本語を勉強したいと思いました」
「ああ、そうですか。すきなアニメがありますか」
「はい、『天気の子』というアニメが好きです。映画を見ましたが、とてもきれいでおもしろかったです」
「そうですか。ドイツでもやっていたんですね。私は見る時間がなくて、ざんねんでした。ところで、『てつわんアトム』というアニメを知っていますか」
「はい、聞いたことがあります」
「今から60年ぐらい前、毎週テレビでシリーズで放送されたそうです。日本ではじめてだったそうですよ」
「そうですか。たしか、人間の形をしたロボットが出てくるんですよね」
「ええ、そうです。2本の足で歩くロボットです。このアニメを見て、ロボットを作りたいと思った人たちがいたんです。それで、はやくから日本でロボットが作られるようになったそうですよ。私も今、ロボットを作る仕事をしているので、私にもかんけいがあるアニメだと思っています」
「そうですか。アニメにはすごい力があるんですね!」
シュテファンは、アニメはおもしろいだけだと思っていたので、びっくりしました。そして、アニメのふかさが心に強くのこりました。この時から、シュテファンはもっとアニメについて知りたいと思うようになったのです。
つぎの週、シュテファンは日本語教室に行って、山口さんの家に行ったことを話しました。日本に留学したことがあるクラウス先生は
「それはいいけいけんになりましたね」
と言いました。
「はい、もっと日本語を勉強して、日本について知りたいと思います!」
シュテファンは、大きい声で言いました。
ある日、シュテファンが近くのこうえんをさんぽしていると、かみが黒い人たちが見えました。大人が2人と子どもが2人です。シュテファンは、日本人だろうと思ってこえをかけました。
「あの、すみません。日本の方ですか」
「ええ、そうです」
「私はシュテファンともうします。この近くに住んでいます」
「あら、そうですか。私たちは、さいきん、ひっこしてきたんです。主人がドイツの会社ではたらくことになって。こちらは主人です。それから、こちらはむすことむすめです」
と、おくさんが言いました。ご主人も言いました。
「はじめまして。山口ともうします。どうぞよろしくおねがいします。」
シュテファンはうれしくなりました。
(はじめて日本人と話した! 意味もわかった!)
ご主人はつづけました。
「シュテファンさんは学生さんですか」
「はい、そうです。高校生です」
「高校で日本語を勉強しているんですか」
「いいえ、ちかくに日本語を勉強する教室があって、その教室で勉強しています」
「へえ、そうですか。日本人の先生がいるんですか」
「いいえ、日本に留学していたドイツ人の先生がいます。そこで 文法を勉強したり、話したりしています」
「そうですか。それはいいですね。」
こうして、シュテファンは山口さんの家族なかよくなりました。
ある日、山口さんのいえにしょうたいされました。むすこさんのたんじょう日をいっしょにおいわいしてほしいと言われたのです。むすこさんは5さいになるそうです。
日本人の家に行くのははじめてだったので、どんなきまりがあるか、わかりませんでした。おいわいのプレゼントは何がいいか、食べ物を持って行くのがいいか、いろいろ考えたり、しらべたりしましたが、山口さんのおくさんに聞くのがいいと思って、聞いてみることにしました。
「すみません。おいわいのプレゼントは何がいいですか。よくわからないので、おしえてください」
「いえ、何もお持ちにならないでいいです」
シュテファンはしんぱいになりました。
(ぼくからもらいたくないのかな……)
「じゃあ、何か食べるものを持っていきたいんですが……」
「いいえ、だいじょうぶです。しんぱいなさらないでください。」
シュテファンはもっと心配になりました。
(どうしたらいいの……)
シュテファンは家に帰って、よく考えました。
(そうだ、日本人は、「ほしい」とはあまり言わないって、日本語の先生が言ってたのを思い出した。何て言うんだっけ。うーん、あっ、「えんりょ」だ!)
この時、シュテファンは、ちがう国の人とコミュニケーションをとる時、その国の文化を知ることが大切だと、気づきました。そして、しんぱいがなくなりました。
(じゃあ、かんたんなプレゼントとドイツのお菓子を持っていこう。)
山口さんのむすこさんのたんじょう日に、シュテファンはドイツの木のおもちゃとくだものが入ったケーキを持っていきました。
ピンポーン。
「こんにちは。おじゃまします」
「よくいらっしゃいました」
おくさんとむすこさんが げんかん(いえの入り口)に来ました。
「こちらがむすこのおさむです。はじめまして、って言って」
「はじめまして」
「これ、どうぞ」
「ありがとう!」
シュテファンはむすこさんにおもちゃをあげました。そして、おくさんにケーキをわたしました。
「これ、つまらないものですが……」
これは 日本語の先生から教えてもらったあいさつです。
「まあ、ありがとうございます」
おくさんは うれしそうに言いました。
「さあ、どうぞ。お入りください」
リビングルームに入ると、テーブルの上にたくさんの料理がありました。まきずし、やさいサラダ、とりのからあげ、たまごやき、きのこごはん、みそしる、ソーセージ、フランスパンなどです。
「すごい! いろいろな料理がありますね。日本料理だけじゃないんですね。あっ、ドイツのソーセージも!」
「ええ、日本でも日本料理だけ食べるわけじゃないんです。今はいろいろな国の食べ物があるので、いろいろな国の料理を作るんですよ」
「どうぞ、えんりょなくめしあがってください」
ご主人も出てきました。そして、むすめさんが走ってきて、お父さんのうしろで
「はじめまして。ようこです。こんにちは」
と、はずかしそうに言いました。
「いただきます!」
山口さんの家族とシュテファンは、テーブルの前に座って料理を食べはじめました。となりにすわったご主人がシュテファンに話しかけました。
「どうして日本語を勉強しようと思ったんですか」
「日本のアニメを見て、日本語を勉強したいと思いました」
「ああ、そうですか。すきなアニメがありますか」
「はい、『天気の子』というアニメが好きです。映画を見ましたが、とてもきれいでおもしろかったです」
「そうですか。ドイツでもやっていたんですね。私は見る時間がなくて、ざんねんでした。ところで、『てつわんアトム』というアニメを知っていますか」
「はい、聞いたことがあります」
「今から60年ぐらい前、毎週テレビでシリーズで放送されたそうです。日本ではじめてだったそうですよ」
「そうですか。たしか、人間の形をしたロボットが出てくるんですよね」
「ええ、そうです。2本の足で歩くロボットです。このアニメを見て、ロボットを作りたいと思った人たちがいたんです。それで、はやくから日本でロボットが作られるようになったそうですよ。私も今、ロボットを作る仕事をしているので、私にもかんけいがあるアニメだと思っています」
「そうですか。アニメにはすごい力があるんですね!」
シュテファンは、アニメはおもしろいだけだと思っていたので、びっくりしました。そして、アニメのふかさが心に強くのこりました。この時から、シュテファンはもっとアニメについて知りたいと思うようになったのです。
つぎの週、シュテファンは日本語教室に行って、山口さんの家に行ったことを話しました。日本に留学したことがあるクラウス先生は
「それはいいけいけんになりましたね」
と言いました。
「はい、もっと日本語を勉強して、日本について知りたいと思います!」
シュテファンは、大きい声で言いました。
シュテファンはドイツ人です。生まれてから学校の13年生(日本では高校生)の時までドイツにいました。子どもの時、日本のアニメを見て、日本が好きになりました。そして、日本語が上手になりたい、日本の文化をもっと知りたい、いつか日本に行って勉強したい、と思うようになりました。それで、学校の12年生(日本では高校2年生)になった時、日本語の勉強を始めました。
ある日、シュテファンが近くの公園をさんぽしていると、かみが黒い人たちが見えました。大人が2人と子どもが2人です。シュテファンは、日本人かもしれないと思って話しかけました。
「あの、すみません。日本の方ですか」
「ええ、そうです」
「私はシュテファンともうします。この近くに住んでいます」
「あら、そうですか。私たちはさいきん、ひっこしてきたんですよ。主人がドイツの会社で働くことになって。こちらは主人です。それから、こちらはむすことむすめです」
と、おくさんが言いました。ご主人も言いました。
「はじめまして。山口ともうします。どうぞよろしくおねがいします」
シュテファンはうれしくなりました。
(はじめて日本人と話せた! 意味もわかった!)
ご主人はつづけました。
「シュテファンさんは学生さんですか」
「はい、そうです。高校生です」
「高校で日本語を勉強しているんですか」
「いいえ、ちかくに日本語を勉強する教室があって、そこで勉強しています」
「へえ、そうですか。日本人の先生がいるんですか」
「いいえ、日本に留学していたドイツ人の先生がいます。そこで 文法を勉強したり、話したりしています」
「そうですか。それはいいですね」
こうして、シュテファンは山口さんの家族と知り合いになりました。
ある日、山口さんのおたくにしょうたいされました。むすこさんの誕生日をいっしょにおいわいしてほしいと言われたのです。むすこさんは5さいになるそうです。
日本人の家に行くのははじめてだったので、どんなしゅうかんがあるか、わかりませんでした。おいわいのプレゼントは何がいいか、食べ物を持って行ったほうがいいか、いろいろ考えたり、しらべたりしましたが、山口さんのおくさんにきいたほうがよくわかりそうだ、と思って、聞いてみることにしました。
「すみません。おいわいのプレゼントは何がいいですか。よくわからないので、おしえてください」
「いえ、何もお持ちにならないでいいですよ」
シュテファンは心配になりました。
(ぼくからもらいたくないのかな……)
「じゃあ、何か食べるものを持っていきたいんですが……」
「いいえ、大丈夫です。心配なさらないでください」
シュテファンはもっと心配になりました。
(どうしたらいいの……)
シュテファンは家に帰って、よく考えました。
(そうだ、日本人は、ほしいってあまり言わないって、日本語の先生が言ってたのを思い出した。何て言うんだっけ。うーん、あっ、「えんりょ」だ!)
この時、シュテファンは、ちがう国の人とコミュニケーションをとる時、その国の文化を知ることが大切だと、気がつきました。そして、心配がなくなりました。
(じゃあ、かんたんなプレゼントとドイツのお菓子を持っていこう。)
山口さんのむすこさんの誕生日に、シュテファンはドイツの木のおもちゃと果物が入ったケーキを持っていきました。
ピンポーン。
「こんにちは。おじゃまします」
「よくいらっしゃいました」
おくさんとむすこさんが げんかんに来ました。
「こちらがむすこのおさむです。はじめまして、って言って」
「はじめまして」
「これ、どうぞ」
「ありがとう!」
シュテファンはむすこさんにおもちゃをあげました。そして、おくさんにケーキをわたしました。
「これ、つまらないものですが……」
これは 日本語の先生から教えてもらったあいさつです。
「まあ、ありがとうございます」
おくさんは うれしそうに言いました。
「さあ、どうぞ。お入りください」
リビングルームに入ると、テーブルの上にたくさんの料理がありました。まきずし、野菜サラダ、とりのからあげ、たまごやき、きのこごはん、みそしる、ソーセージ、フランスパンなどです。
「すごい! いろいろな料理がありますね。日本料理だけじゃないんですね。あっ、ドイツのソーセージも!」
「ええ、日本でも日本料理だけ食べるわけじゃないんですよ。今はいろいろな国の食べ物があるので、いろいろな国の料理を作るんですよ」
「どうぞ、えんりょなくめしあがってください」
ご主人も出てきました。そして、むすめさんが走ってきて、お父さんのうしろで
「はじめまして。ようこです。こんにちは」
と、はずかしそうに言いました。
「いただきます!」
山口さんの家族とシュテファンは、テーブルの前に座って料理を食べはじめました。となりにすわったご主人がシュテファンに話しかけました。
「どうして日本語を勉強しようと思ったんですか」
「日本のアニメを見て、日本語を勉強したいと思いました」
「ああ、そうですか。好きなアニメがありますか」
「はい、『天気の子』というアニメが好きです。映画を見ましたが、とてもきれいでおもしろかったです」
「そうですか。ドイツでもやっていたんですね。私は見る時間がなくて、ざんねんでした。ところで、『てつわんアトム』というアニメを知っていますか」
「はい、聞いたことがあります」
「今から60年ぐらい前、毎週テレビでシリーズで放送されたそうです。日本ではじめてだったそうですよ」
「そうですか。たしか、人間の形をしたロボットが出てくるんですよね」
「ええ、そうです。2本の足で歩くロボットです。このアニメを見て、ロボットを作りたいと思った人たちがいたんです。それで、早くから日本でロボットが作られるようになったそうですよ。私も今、ロボットを作る仕事をしているので、私にもかんけいがあるアニメだと思っています」
「そうですか。アニメにはすごい力があるんですね!」
シュテファンは、アニメはおもしろいだけだと思っていたので、びっくりしました。そして、アニメのふかさが心に強くのこりました。この時から、シュテファンはもっとアニメについて知りたいと思うようになったのです。
つぎの週、シュテファンは日本語教室に行って、山口さんの家に行ったことを話しました。日本に留学したことがあるクラウス先生は
「それはいいけいけんになりましたね」
と言いました。
「はい、もっと日本語を勉強して、日本について知りたいと思います!」
シュテファンは、大きい声で言いました。
ある日、シュテファンが近くの公園をさんぽしていると、かみが黒い人たちが見えました。大人が2人と子どもが2人です。シュテファンは、日本人かもしれないと思って話しかけました。
「あの、すみません。日本の方ですか」
「ええ、そうです」
「私はシュテファンともうします。この近くに住んでいます」
「あら、そうですか。私たちはさいきん、ひっこしてきたんですよ。主人がドイツの会社で働くことになって。こちらは主人です。それから、こちらはむすことむすめです」
と、おくさんが言いました。ご主人も言いました。
「はじめまして。山口ともうします。どうぞよろしくおねがいします」
シュテファンはうれしくなりました。
(はじめて日本人と話せた! 意味もわかった!)
ご主人はつづけました。
「シュテファンさんは学生さんですか」
「はい、そうです。高校生です」
「高校で日本語を勉強しているんですか」
「いいえ、ちかくに日本語を勉強する教室があって、そこで勉強しています」
「へえ、そうですか。日本人の先生がいるんですか」
「いいえ、日本に留学していたドイツ人の先生がいます。そこで 文法を勉強したり、話したりしています」
「そうですか。それはいいですね」
こうして、シュテファンは山口さんの家族と知り合いになりました。
ある日、山口さんのおたくにしょうたいされました。むすこさんの誕生日をいっしょにおいわいしてほしいと言われたのです。むすこさんは5さいになるそうです。
日本人の家に行くのははじめてだったので、どんなしゅうかんがあるか、わかりませんでした。おいわいのプレゼントは何がいいか、食べ物を持って行ったほうがいいか、いろいろ考えたり、しらべたりしましたが、山口さんのおくさんにきいたほうがよくわかりそうだ、と思って、聞いてみることにしました。
「すみません。おいわいのプレゼントは何がいいですか。よくわからないので、おしえてください」
「いえ、何もお持ちにならないでいいですよ」
シュテファンは心配になりました。
(ぼくからもらいたくないのかな……)
「じゃあ、何か食べるものを持っていきたいんですが……」
「いいえ、大丈夫です。心配なさらないでください」
シュテファンはもっと心配になりました。
(どうしたらいいの……)
シュテファンは家に帰って、よく考えました。
(そうだ、日本人は、ほしいってあまり言わないって、日本語の先生が言ってたのを思い出した。何て言うんだっけ。うーん、あっ、「えんりょ」だ!)
この時、シュテファンは、ちがう国の人とコミュニケーションをとる時、その国の文化を知ることが大切だと、気がつきました。そして、心配がなくなりました。
(じゃあ、かんたんなプレゼントとドイツのお菓子を持っていこう。)
山口さんのむすこさんの誕生日に、シュテファンはドイツの木のおもちゃと果物が入ったケーキを持っていきました。
ピンポーン。
「こんにちは。おじゃまします」
「よくいらっしゃいました」
おくさんとむすこさんが げんかんに来ました。
「こちらがむすこのおさむです。はじめまして、って言って」
「はじめまして」
「これ、どうぞ」
「ありがとう!」
シュテファンはむすこさんにおもちゃをあげました。そして、おくさんにケーキをわたしました。
「これ、つまらないものですが……」
これは 日本語の先生から教えてもらったあいさつです。
「まあ、ありがとうございます」
おくさんは うれしそうに言いました。
「さあ、どうぞ。お入りください」
リビングルームに入ると、テーブルの上にたくさんの料理がありました。まきずし、野菜サラダ、とりのからあげ、たまごやき、きのこごはん、みそしる、ソーセージ、フランスパンなどです。
「すごい! いろいろな料理がありますね。日本料理だけじゃないんですね。あっ、ドイツのソーセージも!」
「ええ、日本でも日本料理だけ食べるわけじゃないんですよ。今はいろいろな国の食べ物があるので、いろいろな国の料理を作るんですよ」
「どうぞ、えんりょなくめしあがってください」
ご主人も出てきました。そして、むすめさんが走ってきて、お父さんのうしろで
「はじめまして。ようこです。こんにちは」
と、はずかしそうに言いました。
「いただきます!」
山口さんの家族とシュテファンは、テーブルの前に座って料理を食べはじめました。となりにすわったご主人がシュテファンに話しかけました。
「どうして日本語を勉強しようと思ったんですか」
「日本のアニメを見て、日本語を勉強したいと思いました」
「ああ、そうですか。好きなアニメがありますか」
「はい、『天気の子』というアニメが好きです。映画を見ましたが、とてもきれいでおもしろかったです」
「そうですか。ドイツでもやっていたんですね。私は見る時間がなくて、ざんねんでした。ところで、『てつわんアトム』というアニメを知っていますか」
「はい、聞いたことがあります」
「今から60年ぐらい前、毎週テレビでシリーズで放送されたそうです。日本ではじめてだったそうですよ」
「そうですか。たしか、人間の形をしたロボットが出てくるんですよね」
「ええ、そうです。2本の足で歩くロボットです。このアニメを見て、ロボットを作りたいと思った人たちがいたんです。それで、早くから日本でロボットが作られるようになったそうですよ。私も今、ロボットを作る仕事をしているので、私にもかんけいがあるアニメだと思っています」
「そうですか。アニメにはすごい力があるんですね!」
シュテファンは、アニメはおもしろいだけだと思っていたので、びっくりしました。そして、アニメのふかさが心に強くのこりました。この時から、シュテファンはもっとアニメについて知りたいと思うようになったのです。
つぎの週、シュテファンは日本語教室に行って、山口さんの家に行ったことを話しました。日本に留学したことがあるクラウス先生は
「それはいいけいけんになりましたね」
と言いました。
「はい、もっと日本語を勉強して、日本について知りたいと思います!」
シュテファンは、大きい声で言いました。