Coming soon!
待ちに待った金曜日が来た。ベレンは気合を入れて和室に入った。
「どうしよう。おくれちゃったみたい。」
ベレンはそこにいた茶道部の部員らしき人に声をかけた。
「すみません。先日入部したばかりのものなんですが。」
「あら。あなたはベレンさんなの?私は長野(ながの)みゆよ。教育学部の2年生なの。これからよろしくね!」
と、髪の毛をひとつにまとめて、やさしそうなえがおを見せた。ベレンはなんとなく犬みたい、それもしばいぬみたいだなあとなんとなく思っていた。
「今日は何をすればいいですか?」
何もわからないので、すぐに聞いた。
「うーん。今はお稽古(けいこ)のじゅんびはほとんど終わっているから、ちょっと待っててね。まだ、茶道(さどう)を教えてもらっていないと思うから、今日はとりあえず部員のお稽古(けいこ)を見てて。」
と答えた。ちょうどその時、先生が和室のとびらを開けて入ってきた。
「こんばんは」
先生はうすい緑色の着物を着ている。ベレンはそのすがたをみて思わず
「あ!」
と声を出してしまった。その先生はあの日バスていで出会った西野さんだった。
「もしかして。西野さんですか?」
「あら。バスていで出会った方じゃない。」
先生はおちついているが、長野さんは少しおどろいている。
「茶道(さどう)にきょうみを持ってくれたのね。これからよろしくおねがいします。」
「いえいえ。こちらこそよろしくおねがいします。」
「まさか、この大学の生徒さんだったなんて。今日はいつも稽古(けいこ)をしている先生がお休みだから代わりに来たの。たった一日だけどよろしくね。」
「西野さんに教えてもらって茶道(さどう)の事を知ったんです。本当に出会ってくれてありがとうございます。」
「そんなことを言ってもらえるなんてうれしいわ。」
先生が掛け軸(かけじく:絵や文字がえがかれたぬのや紙で、かべにかざるもの)とお花のかざりつけを終わらせると、茶道のお稽古(けいこ)が始まった。ベレンは今回は部員の練習をじっと見ていた。2時間ていど見ているだけでも大変だった。とちゅうでは、
「見とり稽古(けいこ)って言ってね。茶道ではだれかが練習しているのを見て、そこから勉強するのよ。」
と西野さんが言った。それで、ベレンはいっしょうけんめい練習の様子を見たけど、やり方を覚えられそうにない。けれど、出されたおかしとまっちゃを食べる時のやり方はしっかりと覚えた。おかしが出されたら、おかしの入ったかしきをもっておじぎをする。そして、おかしを懐紙(かいし)という和紙(わし)にとって食べる。お茶も正面をさけて飲む。それだけで、もう頭がいっぱいになりそうだ。
茶道の練習が終わった。ベレンは帰り道
「できるようになるかな、、、、、、。」
と不安な声を出した。まわりは真っ暗でほしが見えた。寒さにとりはだがたった。
待ちに待った金曜日が来た。ベレンは気合を入れて和室に入った。
「どうしよう。遅刻しちゃったみたい。」
ベレンはそこにいた茶道部の部員らしき人に声をかけた。
「すみません。先日入部したばかりのものなんですが。」
「あら。あなたはベレンさんなの?私は長野みゆよ。教育学部の2年生なの。これからよろしくね!」
と、髪の毛を一つ結びにして、優しそうな笑顔を浮かべた。ベレンはなんとなく犬みたい、それも柴犬みたいだなあとなんとなく思っていた。
「今日は何をすればいいですか?」
何もわからないので、単刀直入に聞いた。
「うーん。今はお稽古の準備はほとんど終わっているから、ちょっと待っててね。まだ、茶道を教えてもらっていないと思うから、今日はとりあえず部員のお稽古を見てて。」
と答えた。丁度その時、先生が和室の扉を開けて入ってきた。
「こんばんは」
先生は薄緑色の着物を着ている。ベレンはその姿をみて思わず
「あ!」
と声を漏らした。その先生はあの日バス停で出会った西野さんだった。
「もしかして。西野さんですか?」
「あら。バス停で出会った方じゃない。」
先生は落ち着いているが、長野さんは少し驚いている。
「茶道に興味を持ってくれたのね。これからよろしくお願いします。」
「いえいえ。こちらこそ宜しくお願いします。」
「まさか、この大学の生徒さんだったなんて。今日はいつも稽古をしている先生がお休みだから代わりに来たの。たった一日だけど宜しくね。」
「西野さんに教えてもらって茶道の事を知ったんです。本当に出会ってくれてありがとうございます。」
「そんなことを言ってもらえるなんて嬉しいわ。」
先生が掛け軸とお花の飾り付けを終わらせると、茶道のお稽古が始まった。ベレンは今回は茶道部員の稽古をじっと見ていた。2時間程度見ているだけでも大変だった。途中では、
「見取り稽古って言ってね。茶道では誰かが稽古しているのを見て、そこから勉強するのよ。」
と西野さんが言った。それで、ベレンは一生懸命稽古の様子を見たけど、全然手順を覚えられそうにない。けれど、出されたお菓子と抹茶を食べる時の作法はしっかりと覚えた。お菓子が出されたら、お菓子の入った菓子器をもってお辞儀をする。そして、お菓子を懐紙という和紙に取って食べる。お茶も正面を避けて飲む。それだけでもう頭が沸騰しそうだ。
茶道の稽古が終わった。ベレンは帰り道
「できるようになるかな、、、、、、。」
と不安の声を漏らした。辺りは真っ暗で星が見えた。寒さに鳥肌がたった。